日用消費財メーカーの企業広報の職にあった頃のことです。「ダイバーシティ」という言葉をようやくメディアに初掲載いただいたのはちょうど10年前でした。もちろん「ダイバーシティ(多様性)」という注釈つき、いや、「多様性(ダイバーシティ)」だったかもしれません。最近、メディアで「LGBT」という言葉をみるようになって、この10年前のできごとをよく思い出します。メディアに掲載されるまでに長い道のりがあり、掲載されたのち社会に理解が浸透していくまでにも長い長い道のりがある、と。
その「ダイバーシティ」も、いまや大学で独立した講義科目となる時代です。実践女子大学人間社会学部では、鹿嶋敬教授による「ダイバーシティ社会論」が展開されています。ジェンダー・ダイバーシティに焦点をあて、企業関係者や実務家、官界の政策担当者や大学・シンクタンクの研究者等が週替わりで教壇に立ち、ダイバーシティ推進に関わる多様な取り組みを俯瞰できる贅沢なプログラムです。行政職員や企業関係者など、学外の聴講生が絶えないのもうなずけます。
今年度の「ダイバーシティ社会論」後半の回(7月2日)を、楽伝理事である柴山純が担当させていただきました。それまで10回にわたり、多様なダイバーシティ推進の事例から基礎知識と広範な情報を得て、取り組みに関わる方々の情熱や仕事観を感じてきた学生さんたち。だからこそ、そろそろ楽伝の出番というわけです。あふれるほどの「自分の外側の世界に関するインプット(入ってきたもの)」を参照しながら、“ダイバーシティ社会を生きていく自分のキャリア”をひとときみつめる機会とさせていただきました。
いつもは「話を聴く」立場の学生さんたちですが、この日ばかりは、120人ほどの学生さんが伝版Ⓡ「お花のシート」を使いながらペアになって交流し、全体発表へと、「発信する」立場にもなっていただきました。いつもと異なる役割にも戸惑うことなく一気に盛り上がって交流されたのは、伝版Ⓡを使ったプログラムのパワーばかりでなく、皆さんが第一線で活躍される講師の方々からそれだけ多くのことを受け取ってこられた証でもあったでしょう。
「社会を学ぶ」は「自分を知る」とともにでこそ。「自分を知る」は「社会に発信する」への準備体操。これからも、たくさんの若者とご一緒していきたいと実感する午後でした。
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■□ご担当 鹿嶋敬教授のお声□■
「柴山さんの授業の進め方が、学生には新鮮に映ったようです。学生が終了時に記入したリアクションペーパーには、ペアワークをすることで自分とは違う価値観に接することができた、ワークを通じ今までの講義全般を振り返ることができた等々、新たな自分発見、大学生活再考等に関する意見が寄せられました。」
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*楽伝は、多くの情報・知識を受け取る立場にある学生の皆さんが、「学び」を自分の生き方・働き方に活かしていくことを応援する「授業支援」を大切にしています。現場の先生方とご一緒に、対象となる学生の皆さんの状況をふまえ、伝版Ⓡを使って思考を深めたり、交流を深め、発信を促進する学習プログラムを作りあげることに力を入れています。