2015年5月14日

ヒンディー語では「明日」と「昨日」は同じ言葉?!

“多様な文化で働く。「すでに持つもの」を転換する。”をお話しました

先日5月6日(水)楽伝の理事・山本由紀子が、山口県の放送局・KRY山口放送のラジオ番組  「おはようKRY」の「県人アワーふるさとdeつなごう」に登場しました。

このコーナーは、山口県出身でふるさとを離れて暮らし、活動している人を、番組パーソナリティが電話でインタビューをするもの。東京や大阪などの大都市だけでなく、海外で働いてみたいという若者が地方でも増えていることから、山口県出身でグローバル人材の育成に携わっている山本が、今回お話させていただくことになりました。
 
15分間のインタビューでは、山本自身がインドの多国籍・多文化な環境で働く中で体感した「多様性(ダイバーシティ)」について具体的にご紹介するとともに、多国籍・多文化を標準とするグローバルな時代に「転換力」を自分のものにすることにより、自らがすでにもつスキル・専門性を活かしてチャレンジを乗り越えていくことができるという考えを語りました。
 
インタビューの一部をご紹介しましょう。

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-海外勤務のご経験があるのですね?

はい、インドで通算4年働いてきたのですが、2014年まで働いていた会社は、インド現地の会社で、文化も違えば、国籍も違う多様な人々が働いていました。イギリス、トルコ、もちろん、インド人もいますし、コロンビア、ブラジルの人、そして日本人と、本当に多様な人たちと一緒でした。
 


ホーリーを祝う山本と同僚たち(2014.3)
Holi:ヒンディーの春祭り。春を祝い、
誰かれなく色粉を塗りあったり、色水を掛け合う。
-海外で働く上で壁になるのは言葉ですか?

やはり表面に現れることとしては、言葉になるのですが、それも、文化や宗教が違うと同じ言葉でも、イメージするものがまったく違うわけですね。
もっとも典型的な例ですが、インドのヒンディー語では「明日」と「昨日」は同じ言葉です。輪廻転生の思想のあらわれなのか、彼らはそういう時間感覚のDNAをもっている。「明日」といっても、「今日ではない」くらいの感覚だったりするわけです。そのなかで「『明日』って言ったでしょ?」と叱っても彼らには伝わらない。逆に「どうしてそう、シャカリキになるの」となるわけです。
ですから、彼らのコンテクストのなかで、  言い換えたり、質問を変えたりという工夫が難しかったですし、だからこそ、それだけエキサイティングなところでもありましたね。

-インド人と日本人、価値観の違いについて

もちろん、インドの方たちも日本人と同じでいろんな人がいるのですけれど、ほとんどのインド人はまじめですし、外国人には親切にしたいと思っている。ただ、その方向性が「日本人の価値観からすると」ずれている、あるいは楽天的すぎるだけなんです()。渋滞していてとても5分では到着しそうにないところを「5分で着く」と言ってしまう。あるいは、道を尋ねられて「わからない」というと悪いように思うらしく、親切にしたいからこそ、良かれと思って、あたかも知っているように言ってしまう。

-研修ではどういうことをクライアントさんに伝えておられるのでしょうか?

海外にいくと、言葉も違えば、いろんな文化や宗教の違いもあり、確かに大変ですが、でも逆に日本のなかでも、一人ひとりみんな「違う」という状況は同じなんですね。
たとえば、「目の前に青い海が広がっています」といっても、どんな海を想像しているかは一人ひとり違う。砂浜を思い浮かべる人もいれば、岩場を想像する人もいる。
そう考えると、日本での経験をほんの少し応用する、アレンジすることで、海外でも通用することがあるし、同様に、職業上の経験だけでなく、どんな経験も応用することができる。これを私たちは「転換力」と呼んでいますが、この「転換」をすることができれば、グローバルな時代、あるいは変化の激しい時代もそれを乗り越える力がみんな自分のなかに備わっているよ、ということをコアのメッセージとしてお伝えしたいと取り組んでいます。

*このインタビュー放送は、ポッドキャストで聴くことができます。
    http://kry.co.jp/radio/hotzone/podcast.html

   ・ポッドキャスト:音声データファイルをダウンロードしていつ・どこでもラジオ番組が楽しめるサービス。
          iTunesをダウンロードし、「ポッドキャストで聴く」ボタンをクリックして利用できます。

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楽伝では、「変化に対応する人材の持つべき態度・行動」として【6C:Curiosity(好奇心)、Concern(関心)、Control(コントロール)、Confidence(自信)という4つの態度とCooperation(協働)、Conversion(転換)という2つの行動】のセットを提唱しており、中でも変化に対応する直接的な行動として「転換(Conversion)」する力をクローズアップしています。

ひとつの会社組織で働き続ける場合においても「変化への対応」はもはや日常になりつつありますが、海外の赴任先で働く場合や、外国籍の社員と働く状況では「今までと著しく違う」ことがいっそう多くなります。自らの想定を大きく超える「違い」に面したとき、これまで培ってきたスキルや専門性が通用しないのではないか、ゼロから始めるのか、といった不安がふと生じることもあるでしょう。もちろん、これまでの「そのまま」では通用しないかもしれませんが、「組み合わせ」たり、「とらえなおして置き換え」たり、さまざまな応用やアレンジをすることで、すべての経験が新しい環境でも通用するキャリアとなります。

また社会人だけでなく、職業経験のない学生が、経験から培ったものを企業組織で通用する力として自己表現できるようになる上でも、「転換」する力が大変有用です。

これらは、私たち楽伝が【6つのC】のなかでも「Conversion(転換)」する力をクローズアップしている所以でもあります。

*楽伝はコミュニケーション力とキャリアの開発を両輪ととらえ、多様性に満ち、変化の激しい現代社会において力を発揮する人材を育てることを通じて社会に貢献します。

 

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