2017年9月28日

学会発表を終えて

2017年日本心理学会第81回大会(福岡県久留米市)

http://rakuden.or.jp/index.html楽伝は、変化の時代に人生を生き抜くことに焦点をあてた教育プログラムの開発と実践を行っております。

その活動過程で得た問題意識と知見を発信する活動として、株式会社伝耕と協働し、日本心理学会年次大会における発表を続けております。

今回は922日(金)、4回目の発表となる第81回大会での模様を発表メンバーよりご報告します。

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朝いちばん 賑わう会場
ちょうど夏の名残と秋の訪れがとけあった過ごしやすい季節。今年の学会会場となったのは、久留米市中心市街地に昨年開館したばかりの文化交流施設「久留米シティプラザ」。

朝一番、なおかつ雨にもかかわらず、ポスター発表の展示会場は、ここ数年での発表風景と比べてもかなりの賑わい。 

我々は、今までキャリアの研究の中で正面を切って取り上げられていない“複数回の転職経験者”に焦点を絞り、彼らの認識・態度・行動パターンを整理することにより、成功する転職経験者に共通するモデル構築を目指している。

今回の発表は「キャリアチェンジの主観的成功を形成する要因」と題し、そのモデル構築の仮説づくりを目的とした探索的な内容であった。

「一つの組織で長期間過ごす」ということが現実的ではない世の中に移行し、“キャリアをどのように築いていくか”というテーマには、キャリアを構築する本人が迷うと同時にアドバイスする側にとっても、自らの経験をベースにしたアドバイスが必ずしも奏功しないという問題が起こっている。

キャリアアドバイザーではなくとも、キャリアについてアドバイスを行う可能性のある学校教員や親、上司が、転職というものについて、ファクトを踏まえたバランスの良いアドバイスをすることを求められるが、アドバイスのベースとなる知見は十分ではない。この研究を進展させることによって、その課題に応えていくことができればと考えている。

会場で我々の研究に関心を寄せてくださったのは、アカデミズムの枠を超えて、キャリアについて実践的な研究や研修の視点をお持ちの方々で、今後の研究の進展にもご興味を持っていただいた。

発表原稿中ではくわしく触れていないが、今回の探索の中で明らかになった若い世代の夫婦間で進む新しいキャリア形成のありようなどにもご関心をいただいた。

キャリア形成における課題(退職者のセカンドキャリアの形成等)にどのように向き合うべきかについて、それぞれに強い問題意識のもと、これからの働き方について研究されているみなさまや、ご自身のこととしてキャリアというテーマに深い関心をお持ちの方々との交流に我々も刺激をいただいた。

久留米駅前 からくり太鼓時計
郷土の人 からくり儀右衛門の作品がモチーフ
来年の82回日本心理学会は東北大学主催で、場所は仙台国際センターと予定されている。仮説を整えて、モデル構築を狙った量的調査の結果報告ができればと思っている。

ちなみに、堅苦しい発表だけでなく、地方開催ならではの学会の楽しみとして、「ご当地もの」との出会いがあるが、発表会場の周囲や通路には、久留米らしい物産が展示されていた。八女茶の試飲などもあり、楽しく華やいだ雰囲気も楽しめた。
来年の仙台はどんな学会になるだろうか。東北ならではのしつらえが今から楽しみである。 
                          (西道・吉田)

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◆ご参考:これまでの発表
2016年 第31国際心理学会議(ICP・日本心理学会第80回大会(パシフィコ横浜)
 「キャリアチェンジャー(転職経験者)に学ぶ“転換力”」

2015年 日本心理学会第79回大会(名古屋国際会議場)
 「大学生のキャリア開発における自己能力発見過程」

2014年 日本心理学会第78回大会(同志社大学今出川キャンパス)
 「コミュニケーション教育に資するグラフィックツール」「ファシリテーションにおけるグラフィックツールの使用の効果」

*楽伝はコミュニケーション力とキャリアの開発を両輪ととらえ、多様性と変化あふれる社会において力を発揮する人材を育てることを通じて社会に貢献します。

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