2019年9月20日

日本語専攻者のキャリア教育x伝版®

蔚山大学第1学期の教室より(前編)

大学生のみなさんが熱心に書き込んでいるのは『伝版®』の1つ、発芽のシート🌱(右写真)

ここは蔚山大学(韓国 蔚山広域市)。
日本語専攻者のライフキャリアデザイン力を重視した科目「日本市場開拓実務」の1コマです。

小松麻美先生(蔚山大学・日本語日本学科)の指導のもと学ぶ学生は女性11人と男性3人。

日本語専攻の4年生たちに、国際関係学科や経済学科の学生や日本からの留学生も加わって、日本語への興味や学ぶ目的はそれぞれです。
日本語のスキルにも幅があります。

そうしたメンバーでライフキャリアを考えるグループワークを重ねるため、多様な価値観・人生観に触れることができるのも科目の魅力です。

◆ライフキャリアデザインの視点で
蔚山大学キャンパス
学期の前半は、日本企業研究や模擬グループ面接など、卒業後に日本と関わりをもって働くキャリアを具体的にイメージします。
取り組むうちに、社会に出る実感がわいたところで、学期の中盤からは『伝版®』を活用したワークショップで、ライフキャリアについて学生が立ち止まって考える機会を提供します。

〇523
伝版®の「川のシート」をつかい、これまでの経験を棚卸しながら、自分の好奇心や価値観を再発見しました。

4年生になり“狭義のキャリア開拓=卒業後まずの就職”に意識が集中しがちな学生さんも、あらためてこれまでの経験を思い起こし、自分の好奇心を探索すると、「なぜ自分は日本語を学ぶことにしたのか?」その意味を掘り下げてとらえなおすことができます。

〇6月13日
3週ほど時間をおいたこの日は「花のシート」「木のシート」で自分の価値観を明らかにし、ライフキャリアビジョンをイメージします。さらに「発芽のシート」で中期・短期の“ある地点”の自分をイメージすることで、自分自身を“ストーリーのある生身の人物像”としてとらえ、自分と他者に語る準備が整っていきます。

◆「語りによる学習/ナラティブ学習」を促進
「自己探索」は、キャリア考える上ですっかり親しまれたアクションですが、ともすると形だけの棚卸しに留まったり、気持ち重い作業となりがちです。

そんなとき、自然(木や花など)をモチーフにしたグラフィック『伝版®』のメタファーや色の持つ力を借りると?
ー自己の内面を言語化するプロセスの負荷が下がります。

また、同じフレームなのに、異なる内容が書かれた他者の『伝版®』に触れることで、他者との交流が深まり、学びが起動しやすくなります。こうした結果として、自己探索が深まりやすくなるのです。

◆学期末、学生さんの声より
〇就職のことはもちろんですが、今後自分がどうやって生きていくかついてもたくさん考えることができました。

〇職業というと安定ばかりで候補を絞り込んでいたが、授業で考えるうちに、自分がもっと惹かれて胸がときめくものがあると気づきました。どちらと今決めるものでないけれど、自分の未来x職業について本当に真剣に考えてみることができてよかったです。

3週間前は漠然とキーワードを書いていた自分だったが、最後の授業でビジョンを設定すると(あのキーワードが)具体的な計画や未来像になって心に帰ってきました。資格を目指す、この仕事を志望する、お金を貯める・・・いろいろなことの理由がはっきりしました。

〇この講義は、自分についての考えと、他の人への考え、どちらも話せる時間でとてもよかったです。

〇先輩たちの発表をきいてとても刺激を受けました。日本語で上手に発表する様子もうらやましく、私もできるようなりたいと思いました。

さて次号では、指導にあたられた小松麻美先生におはなしをうかがいます。
どうぞお楽しみに!

*楽伝はコミュニケーション力とキャリアの開発を両輪ととらえ、多様性と変化あふれる社会において力を発揮する人材を育てることを通じて社会に貢献します。

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