2016年1月7日

年始のごあいさつ

新年あけましておめでとうございます。

今年は申年。
猿のモチーフを面白くアレンジした年賀状をたくさんいただきました。ありがとうございます!
お猿さんの絵ってなんだか楽しくなりますね。
本来は関係のない《十二支》と《十二獣》をくっつけてしまったのは、民衆に十二支をなじみ深くするため・・・など諸説あるようですが、「申年」の「申」は「猿」とのセット、確かによく浸透しています。

明けて二日、茂山千五郎家一門の「新春天空狂言」に行ってまいりました。

狂言は‟猿楽”ともいわれ、猿が出てくる演目があります。狂言師の修行の道は「猿に始まり狐に終わる」とか。修業期間の初期に演じるのが、「靭猿(うつぼざる)」の「猿」役。

茂山千五郎家一門では、茂山正邦氏の三男・茂山鳳仁クン(初舞台からすでに約3年のキャリア!)が、大名の命で皮を剥がれる運命を愛嬌でかわす猿の役を堂々と演じ、拍手喝采の寿ぎ。現在7歳の鳳仁クンは、さあこれから「釣狐(つりぎつね)」の「狐」役を立派に演じ、師匠に一人前と認められるまでの約十数年間、心身ともに大きく‟成長”し、次々に芸の習得をするめまぐるしい‟変化の時期”を迎えます。

2016年、十干十二支(じっかんじゅうにし)でいえば「丙申(ひのえさる)」にあたる今年は、‟種まきをしてチャレンジしてきた物事が、新芽を経て形を成し、成熟に向かう”の意があるそうです。設立から5年目を迎え「楽伝(らくでん):楽しく伝える・キャリアをつくるネットワーク」は、まさにこの狂言の「猿に始まり~」という時期。
2つの新たなチャレンジを通し、成長という変化を遂げようとしております。

チャレンジのひとつめは、地域(コミュニティ)振興に関わる活動の拡充です。
人が育まれる場所(=コミュニティ)では、‟コミュニケーション”と‟キャリア”を育むが肝心との視点に立ち、これまでのキャリア教育の現場に加え、コミュニティの振興に関わっていきます。まずは、1400年の歴史をたたえる四天王寺界隈(大阪府大阪市四天王寺区)の活性化に関する活動を本格的に開始します。

ふたつめのチャレンジは、西道が代表取締役を務める「株式会社伝耕」との目に見える連携と協働のスタートです。お陰様で皆さまに支えられ、伝耕は今年設立9期目を迎えます。‟「伝える」を「耕す」”という社名の通り、伝耕のミッションは「ひきだし、ひもとき、組み立てるためのツールとノウハウを提供する」こと。「人」や「モノ」「サービス」の気づかれていない利点をぐぐっとひきだし、新たな視点で見直した要素を整理し世に問うことをお手伝いする会社として、人財開発、商品・サービス開発のサポートをさせていただいております。

楽伝でお馴染みの伝版®は、その価値を営利企業のみならず社会貢献活動で利用できるよう、NPOである楽伝に、伝耕から貸与されておりますが、伝耕とNPO楽伝の双方を通じた活動により、伝版®はのべ3,000人(2015年12月末時点)を超える皆さまに利用いただきました。年を追ってますますその活用場面が広がっており、両法人の積極的連携により、いっそう多くの皆さまのお役に立つことを痛感しております。

今年私たちは、「NPOにおける社会貢献を通じての学び」と「伝耕における営利企業での経験」を従来以上に意識的につなげ、まさに私たち自身の経験をひきだし、ひもとき、くみたてることによって、皆さまのお役に立てる情報の発信と新たなツールとノウハウづくりを手掛けることに着手いたします。
 
閑話休題・・・。

年末年始にかけていろいろな読み物を漁っていましたら、「ヨーロッパ最高の知性」と称される経済学者、ジャック・アタリ氏が語る未来予想に出会いました。アタリ氏曰く、「これから数十年先にかけて、21世紀の世界は希望とリスクに満ちている」。

彼が語る2050年の世界とは・・・(一部抜粋)

・人口の増加と高齢化
  世界的な大災害が起こらない限り、世界人口は95億人に達する見通し。先進国を中心に高齢化
  がさらに進む。
・都市化
  人類の3分の2は都市部で生活。各都市の人口は2倍に。
・人の移動
  現在、世界人口のうち2億人が自分と生まれた国とは異なる国に居住しているが、気候変動等
  の影響で大きな人口移動が起き、10億人は自分が生まれた国とは異なる国に居住。
 
10億人とは!
つまりその頃の世界全人口の約10%は、自分が生まれた国とは異なる国に居住することになるという予想。正直これには驚きました。人はそのような時、何を携えて国を渡り、何を発信して生きていくことになるのだろうか・・・としばし思考逡巡。

しかしたどり着いたのはいつもの結論です。どのような状況にあっても、自らの思考をひきだし、ひもとき、くみたてる。そして、それを新たに出会った人々に楽しく伝え、お互いに伝えあうことができれば、人の未来は拓けるのではないかと。
 
申年の「申」とは、もともとは鋭く光る稲妻を描いた甲骨文字とのこと。稲妻の光が地上に向かって伸びることから「相手に何かを伝える」の意で使われるようになったようです(「申す」→「申請・申告」など)。
 
「猿」のような身軽さで、変化に対応し、変化を愉しみ、「申」の字のごとく、周囲の人々と伝えあい、1年後の大きな成長をさらに楽しみにいたしましょう。

本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

理事長 西道広美 拝


 

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