2019年1月18日

中学生のみなさんと『Have fun!英語って楽しんじゃけん(^^)』

開催レポ 《奈義町(岡山県) x らくでん式英語インプロ~その3》

暖冬にもいよいよ寒波到来の12月、9カ月ぶりに奈義町を訪ねました。JR岡山駅から車で2hほど。那岐山の麓に広がる山なみのうつくしい里です。

この地に住みながらのグローバル人材育成を推進している奈義町。らくでん式英語インプロのワークショップ『Have fun!英語って楽しんじゃけん(^^)』もその一環として町が主催。運営サポーターである奈義町国際交流ネットワーク*のみなさんと連携し、楽伝はプログラムの開発と実施をすすめています。
*奈義町国際交流ネットワーク: 外国人との相互理解や交流を推進、発信し、異文化に対する意識の向上を図ることを目的に町内で活動しているみなさんの集まり。 

◆始まりは昨年度
奈義のコミュニティでは異世代交流が文化のように根付いています。日本トップクラスの合計特殊出生率を支えている(くわしくはコチラ)資源のひとつといえるでしょう。

昨年度の2回のワークショップではその特性を活かし、英語に距離を感じている子どもや社会人も含め“老若男女が交流”し、英語コミュニケーションに親しむ場としました。1回目は小学生から社会人まで24人が参加。2回目は規模を拡大し、4歳から60代まで56人で盛り上がりました。年齢も英語力の段階も幅広い参加者ですが、そこはらくでん式のユニバーサルなプログラムとファシリテーション♪各世代の方々が楽しまれた模様は下記ブログでご紹介しています。
Have fun!英語って楽しんじゃけん(^^)  ☞ 2018年1月 / ②20183

◆新たな試み
とりわけ中学生にとって昨年度のワークショップは“科目として勉強する=学ぶ英語”から“コミュニケーションする=つかう英語”の楽しさへと景色が広がり、「もっと英語をつかってみたい!」と心の動く機会になったようです。
ワークショップ後も中学生の様子を見守ってきた奈義町国際交流ネットワークの皆さんのお考えをもとに、今年度は中学生に焦点をあてることが決定しました。

ところで中学生といえば、文法・語彙の知識が増えてくるころ。新学習指導要領も示すよう、知識習得を超えた、外国語による“コミュニケーション能力”の育成が大切な時期ですね。英語をつかって他者と伝え合う(即興性を伴うやりとりをする、意見を交わすなどの)力、すなわち言語をつかって「活動する」力を育むことがこれからの課題になっています。

新たな試みはもう1つあります。コミュニティの方々が“参加者”というポジションを超え、子どもたちの英語をつかう力を育む場の進行に参画すること。12月のワークショップではまず試験的に、奈義町国際交流ネットワークから3人のメンバーが英語ゲームの「進行役」を体験することに!
事前オリエンテーションでご相談し、それぞれの方が経験と専門性をふまえ、強みと持ち味を活かすワークを1つずつ担当することになりました。

◆おひさしぶりさんも、はじめましてさんも!
12月9日(日)午後、会場はいつもの奈義町文化センター。目の前は町立の保育園、おとなりは町役場。子どもたちが通う奈義小・奈義中もすぐそば。県外や海外からも観光客の訪れる奈義町現代美術館は徒歩1分の距離です。
文化センターは、町の暮らしを支え、教育と文化を醸成する中心部にあり、子どもから高齢の方までが利用する拠点です。

参加者は総勢30人。3年生を中心とする中学生17人に、海外生活や英語学習経験をもつ小学生2人、高校生・大学生各1人に社会人8名が加わりました。3回目となると再会の顔ぶれも。育ち盛りの子どもたちに、思わず「大きくなったね~」とらくでんメンバー。

◆3つの英語ゲームにチャレンジ!
フォニックスや動作表現を使ったウォーミングアップを終えたら、早速、国際交流ネットワークのみなさんが進行する英語ゲームの始まりです!

参加者は3チームに分かれ、3種類のゲームを回っていきます。ですから進行役は、相手にするメンバーを変えて自分の担当ゲームを進行する機会が3回あるわけです
では、ちょっと覗いてみましょうか。

こちらのゲームは?― 「人称代名詞」をつかった言い換えゲームですね。
なじみのある人称代名詞も、やりとりの中でとっさに発話するのは、紙の上の問題に書いて答えるのと、だいぶ感覚がちがうようですね。最初はゆっくりだったり、まちがえたり。いいんです、うまくいかないときこそ新しい発見ができますから。

そうそう、進行役だってまちがえます。いいですね、一気にチームが盛り上がっていますよ!「なんだ、進行のひともまちがえてる」「まちがえたらおもしろい」「自分もなんか言ってみよ!」そんな空気ができてきます。

進行役はみんなの反応をみてだんだんむずかしくしたり、ユーモアある変化球を投げたり。子どもたちをよく知る進行役ならではで、ここにはいないけれどみんながよく知る「あの人」や「この子」も登場です。おかげで3人称の概念がぐっと身近に!みんな、楽しそう、進行役も楽しそう!

さてこちらは何かな?― 記憶ゲームです!
進行役がある英単語を提示すると、メンバーは続いて好きな単語や表現を考え、最初の英単語にどんどんつなげていきます。自分の番になると、まず「前の人たちが挙げた単語」を記憶から取り出し、さらに自分がもつ語彙を検索してひとつ足します。
 
順番があとになればなるほど、記憶する単語が増え、なかなかむずかしそうですね。つぎつぎ失敗💦でもだいじょうぶです!進行役があったかい笑顔で、ぱっと新たな単語で再開してくれますよ。

何回も続けるうちに、みんなの“考え込んでいる時間”がだんだんと短くなってきました。「とりあえずやってみよ!」が少しずつあたりまえに。いい笑顔がいっぱいです!

もう一つのゲームはなにかな?― 「色」をつかった連想ゲームでした。
進行役がカードをめくると「緑/green」が!
緑色のモノって?記憶をたぐったり、窓の外を見渡したり、みんな、探しものです
Green pepper!(ピーマン)
Cucumber/きゅうり」
Cabbage/キャベツ」
だれかが一つ思いつくと、同じカテゴリーでどんどん思い浮かんだりします。 

進行役は様子を見ながらジェスチャーと英語表現でヒントを!発話したメンバーにはすかさず、表情豊かにGreat!” “Good job!”
子どももおとなも、フィードバックをもらうとうれしいですね。
1ラウンド終わるとくたくたなほど、全身でがんばった進行役。第2ラウンドのために、ご自身で助っ人を用意しておられました。おなかまとのすばらしい連携プレーで、3ラウンド終了!

Finish!」 - ファシリテータから声がかかって終了。なんだかあっという間でしたね。

ところで進行役がゲームを共にした顔ぶれは、知り合いやなじみのある学齢期の子もいれば、個人として面識がないのはもちろん、交流の機会がない学齢の子ばかりのことも。相手がもつ文法・語彙の知識や、興味・関心も想像しながら、ちょっとドキドキすることも!3ラウンドを通じ、みなさん、あの手この手で子どもたちと向きあってくださいました。

◆一往復をこえたやりとりへ
ワークショップ後半は、ちょっとした「観察」からスタート!
らくでんメンバーによる“なりきり”で初対面のふたりのやりとり2パターンを披露しました。

「どうだった?」
1回目は初級、2回目は上級って感じ」
1回目は。ひとりが一方的にしゃべってた」
「どんどん話題が変わってよそよそしかった」
2回目は話が続いてだんだん親しくなった」
「相手からきいた“おまつり”の話で返したら会話がふくらんでいた」

質問を投げてばかりの尋問のようなパターンAに対し、パターンBは会話のキャッチボールでだんだん笑顔も出てきましたね。
いろいろな気づきをもとに“事情聴取(笑)”を超え、“楽しい会話”になるコツを、会話のキャッチボールの仕組みから考えてみました。

◆発見したことはすぐつかってみよう!
いろいろな種類の質問フレーズや、会話をつなぐ“おたすけフレーズ”を実際につかって、一往復を超えてやりとりをつなげることに、小グループで挑戦しました。

「英語を考えるのがむずかしい。でも達成感があった。」
「ちがう学年の人とやっておもしろかった。」
「知らなかった会話を続けるコツを学べてよかった!」

初めて使った英語表現も、実は日本語での身近な会話ではよく使っていることも実感したようです。

◆ワークショップを振り返って   
終了時アンケートでは全員が
 “また参加したい!”
「会話をつなげられる英語が勉強になった」
「もっとできるようになりたい!」
「ミニゲームがすごく楽しかった」
「ほかにもゲームで学んでみたい」
「今度は外国の人との会話をやってみたい」
「いろんな年の人とできて楽しかった」

進行役のみなさんとの振り返りの場では?

「思い切ってやってみて本当によかった。」
「とーっても緊張したけれど
 やりがいがあってとても楽しかった。」
「役割を担ったら前回よりもっと参画できた。
 次回もぜひやりたい!」

といった感想に加え、次回はこんなこと・あんな工夫をしたい!とアイディアもどんどん飛び出しました。

どなたもが英語とコミュニケーションをより身近で楽しいものと感じてくださったことに、らくでんスタッフもうれしい思いでした♪ 

◆次回は3月24日(日)開催!
今回を振り返った奈義町国際交流ネットワークのみなさんのご判断で次回も、中学生のための“英語をつかう!”をさらにすすめるプログラムに決定。
より多くの社会人の方にも、英語サポーターになっていただきましょう!

Have fun! 英語って楽しんじゃけん(^^)
奈義町のみなさん、3月にまたお会いしましょう!

次回ワークショップの模様は、本ブログでも春におつたえします。どうぞお楽しみに♪


*楽伝はコミュニケーション力とキャリアの開発を両輪ととらえ、多様性に満ち、変化の激しい現代社会において力を発揮する人材を育てることを通じて社会に貢献します。
 

2019年1月7日

年始のごあいさつ

急勾配を行く登山電車
出典:Vesuvioinrete.it
新年あけましておめでとうございます。
  
皆様はどんな新年を迎えられましたか?
今年は元旦から何か新しいことを、ということで、ザ・シンフォニーホールで開催されたニューイヤーコンサートに行ってまいりました。

オペラ・ミュージカル・バレエなどの演目からピックアップされたイタリア・ドイツ・フランスの楽曲は、新年を迎えた独特の高揚感にぴったり。
歌の進行と同時に、バックに歌詞が映し出され、メロディはお馴染みでも「この名曲はこういう意味だったのか」という新鮮な驚きを感じることができました。

その中から、一曲の誕生物語を。

日本では“おに~のパンツはいいパンツ! つよいぞ~つよいぞ~♪”の歌いだしで知られる「鬼のパンツ」の歌は、イタリア歌曲の「フニクリ・フニクラ」が原曲です。

なんとこの曲は、イタリアのヴェスヴィオ火山の頂まで観光客を運ぶ登山電車「フニコラーレ/Funicolare」のテーマソング♪
1880年に敷設されたこの電車はなかなかの急勾配を登るもの(冒頭の写真)。当時の人たちの中には恐怖を感じる人も少なくなかったのでしょう。当初は全く人気がなく、困った運営会社はルイジ・デンツァに作曲を依頼しました。そして出来上がったのが「フニクリ・フニクラ」だったそうです。
 
世界最古のコマーシャルソングともいわれる「フニクリ・フニクラ」。ちなみに、この日紹介された歌詞は「鬼のパンツ」に通じる勇ましい内容で、なんだか元気が出てきます。

  ♪ 昨日の晩、すごい物に乗ったんだ
  ♪ こんな気持ち初めてだよ
  ♪ 火の吹く山へひとっ飛び
  ♪ 怖くて逃げても大丈夫
  ♪ 疲れ知らずで景色を楽しもう!
  ♪ さあ行こう!行こう!
  ♪ フニクリ・フニクラ
 
ご存じ「鬼のパンツ」のメロディにこの歌詞がのるわけです。
なんだか急勾配を行く「フニコラーレ」に乗ってみたくなりませんか。人の態度と行動を変えるマーケティングの勝利?といえましょうか。たいしたコマーシャルソングですよね。“恐怖を感じる急勾配”“楽しいもの”に変えてしまうのですから。

ふと考えてみれば、「怖い」と思う心は、誰かからもたらされるのではなく、自分の中から湧いてくるもの。急勾配を行く「フニコラーレ」そのものは、この歌があってもなくても何も変わらない。
変わったのは、自分の「心」。 

敵に出くわしたら、そいつは僕らだった
      - フォルト・ケリーの漫画『ポゴ』より

平成最後となった正月。
清々しい気持ちの一方で、ノンストップの変化に見舞われることを想像すると何とも言えない不安が沸き起こってくるのも事実。不安を恐怖ではなく、まだ見ぬ景色を疲れ知らずに楽しむような期待感に変えるには、「心」へのちょっとした働きかけがいりますね。「敵を僕ら」にしないためにも。

元旦のコンサート2時間余り、すっかり楽しみましたが、さらにおみやげとして「鬼のパンツ」、いえいえ「フニクリ・フニクラ」 !
今年の自分応援ソングにしてしまおうと思っています。
 
本年もどうぞよろしくお願いいたします。


理事長 西道 広美 拝
  

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