2015年8月27日

“人間の仕事”とは何か?

 《未来のキャリア開発》を想う夏②
2015年夏、楽伝合宿Day 1スタート!

盛夏のある日、久方ぶりに楽伝メンバーたちが 本拠地・黄色い家に勢ぞろいしました。
日頃はそれぞれの地にあって、プロジェクトベースでつながるメンバーたち。一堂に会するのは、こうして年数回、楽伝の来た道と行く道を想う 合宿の折です。全員がそろったかと思う頃、玄関から「大倉寝具です~」と貸し布団も到着です。恒例のアイスブレーキングともいえる今宵の宿・黄色い家2階への「布団あげ」が済むといよいよ合宿の始まりです。
 
◆“来た道を想う”は“これから”の始まり
まずは、ここ半年ほどのプロジェクトでの学びを全員で共有します。大学生対象のキャリア教育 プログラム・組織での人財開発プログラム・今の自分を伝える「伝紋」プログラム等の進捗や、様々な領域の専門家との交流からの学び等々。担当するメンバー、リモートでサポートするメンバー、関わりのなかったメンバーが、それぞれの立場でこその気づきを共有し、ケースをひきだし、ひもとき、くみたてていきます。新たな情報をその場で探索して共有するメンバーも。こうしてチームで思考しながら“これからの楽伝のあり方”を模索する=未来をデザインする時間が始まっています。

“来た道を想う”は
“これから”の始まり
◆“これからゆきたい道”を選ぶ
過去と未来を行き来してたどり着くのは恒例のテーマです。
ー 楽伝はこれから何をしたいか?
社会に貢献したいというミッションをもって「キャリア開発」のサポートに
楽伝が取り組む以上、「“仕事”というものの在り様が、今後どのように
変化するか?」を想定することは欠かせません。
それは“仕事の在り様”に大きく影響を与える“時代の変化”を見ようと
することでもあります。

◆5歳の子が、35歳になる頃
2045年前後には特異的な“時代”が始まると言われています。
IT技術は指数的に進化するゆえ、人工知能・ナノテクノロジーなどの
技術的革新は年々速度を増しています。未だないどのようなレベルの
技術があと何年ほどで実現するか、指数的に計算することで様々な見通しが示されています。
30年ほど経てば、コンピュータ技術による知能が人間を超える-人間が自らの知能で取り組んでいることがらのほとんどがコンピュータベースの知能により、今日の何兆倍も強力な処理能力で対処されるようになるという ー いわゆる「シンギュラリティ(技術的特異点)」という概念ですが、その実現は、たとえば、いま5歳の子どもが、35歳になる頃。いま50歳の人なら、80歳になる頃。“近い将来”です。
その時、人間はどうなるのか? ― 私たちにとって便利で良い時代となるのか、それとも人類の危機につながるのかについては、様々な場で議論は始まっているものの、技術の進化は巨大なビジネスやパワーと直結するがゆえに、激烈な開発競争が繰り広げられている状況のようです。

 

実りある探索は、
よい朝食あってこそ!
◆“進化した人工知能による仕事”
人工知能のさらなる進化とIT技術の連携により、人間の頭脳への依存 なく「知識」はもれなく共有され、「実行」から得られた結果はすぐに分析⇒フィードバックされることにより、あっという間に「ノウハウ」はアップグレードされます。人間の能力を超越した学習能力を持つ機械は、SF映画の中においてではなく、現実の、私たちの近い将来の日常に影響を及ぼすものになるというわけです。
すでに現在も、情報解析等におけるコンピュータの情報処理能力は人間の能力をはるかに超えていますし、人間対コンピュータのチェスの勝負にもみられるように、複雑な問題への対処を要する条件下において人間以上の能力を示した事例も報告されています。 


まだまだ探索は続く、Day 2
◆“人間の仕事”
この近い将来を前提に、「キャリア」ということを考えてみると、
シンギュラリティ(技術的特異点)に到達したのち、もしくは到達への過程で、人間がこれまでのキャリアで携わってきた仕事の担い手が、 機械に移ることが想定されています。
英オックスフォード大学が2013年に発表した論文では、
「今後10~20年で47%の仕事が、機械に取って替わられる高い
リスクがある」と述べられています。

そうした時代になったとき
 ✓「人間の仕事」というものはどのようになるのでしょうか。
      ⇒どのような仕事が生まれ、何が消滅し、引き続いて価値をもつものは何か。
 ✓「人間に求められる能力」とは何でしょうか。
 ✓「キャリアをひらく力」を、どのように自分のものにしていくのでしょうか。

◆楽伝はこれから何をしたいか?
‟変化は百年後ではなく、ほんの数十年後に到来すると推測される現在、私たちは、激変するであろう将来から目をそむけず、伝えあう力を信じ、人生をひらく「個」を応援するという視点で社会に貢献するNPOとして、あくまでも「個」にフォーカスをあてつつ、世界を変える技術進化にも目配りしながら、発信やプログラムを提供していきたい。”
これが、今回の合宿での私たちのこたえでした。

本ブログでは、今後とも楽伝の活動やそこにある想いについてご紹介していきます。来る時代にいっそう活きるであろう『6C(人生をひらくための4つの態度と2つのスキルpowered by Rakuden)』を掘り下げるための私たちの探索模様なども、発信していく予定です。

 
*楽伝はコミュニケーション力とキャリアの開発を両輪ととらえ、多様性と変化あふれる社会において力を発揮する人材を育てることを通じて社会に貢献します。


2015年8月21日

福島とつなぐ、スカイプでの創発ワークショップ

《未来のキャリア開発》を想う夏①

残暑の厳しさの中にも、朝晩は秋の気配が感じられますね。今回と次回のブログでは、未来を見つめて楽伝が動いた今年の夏についてちょっと振り返ってみたいと思います。
まず今回は、福島と大阪をスカイプでつないだワークショップに想うあれこれをご報告します。

7月9日のブログで、黄色い家(大阪市天王寺区逢坂)で主催された「ふくしま福光(ふっこう)プロジェクト」のSOMATOワークショップの模様を取り上げましたが、この企画、その後さらにアツい展開を見せてくれました。
今回は現場を福島へ移し、7月27日福島県の白河にて、大堀相馬焼の体験イベント「SOMATO」が実施されました。

参加者は新卒1年目の社会人と大学4年生の 学生が中心のメンバー。
白河の会場で、まずは大堀相馬焼の窯元・松永窯4代目の松永武士さんから大堀相馬焼の現状と今後の展望についてのプレゼンテーション。続いて伝版®「花」を使い、大堀相馬焼の販売促進アイディア出しワークです。ちなみにこのセッション、ファシリテーション担当の楽伝理事長・西道は、逢阪の黄色い家にてスタンバイ。白河の会場と黄色い家をスカイプでつないで進みます。

参加した皆さんは、黄色い家での7月1日のワークショップに始まり、今回の福島訪問中に、白河にある窯元で作陶する職人の方と交流したり、作陶体験をしたりと、様々なアクティビティを共にしてきました。皆さんすでにすっかりフレンドリーな雰囲気!自己紹介をスキップし、いきなり‟大堀相馬焼をもっと皆さんに知って・使って・購入していただくにはどうすればいいか?”という本題で、アイディア出しに取り組みます。

花、いろいろ
大堀相馬焼の現状課題への提案、実際に見て触って着想した大堀相馬焼の新しい在り様、こんな風に使えるようになるといいなという未来視点からの発想など。自分の思いつくまま、考え付くままに、伝版®の中にアイディアを書き連ねていきます。スカイプを通して黄色い家の楽伝メンバーにも、皆さんの真剣なまなざしが垣間見え、息遣いとペンを走らせる音が聞こえ、となかなかに臨場感がありました。皆さんが伝版®「花」に寄せた大堀相馬焼の販売促進アイディアは、他ブランドとのコラボあり、新しい用途開発ありと多岐にわたっていて、アイディアの花が満開に!

当初、スカイプでのファシリテーションでうまくいくのだろうかと多少の不安もありましたが、画面の向こうの皆さんの様子がなによりのこたえ。ワークショップは極めてスムーズに進行。伝版®「花」に書かれたアイディアも、スカイプの画像を活用して共有できました。スカイプを通したこの方法、新たなファシリテーションの形としてもっとチャレンジできそうです。

スカイプ画像を通して発表する皆さんを黄色い家で見ていた西道は、この状況自体が面白い取り合わせであることに気づき、心が動かされました。《紙の伝版®と伝統産業品である大堀相馬焼》といういわばクラッシックな在り様 ― それが、復興を盛り上げようとしている福島の地で《スカイプと若者たち》という未来に連なる存在と結び付けられ、化学変化を起こす不思議な時間と空間を生じているように感じたからです。

古いだけでもない。新しいだけでもない。人が生み出してきたさまざまな資産から「自分がこうありたい、自分はこうしたい」に関連する要素を取り出して結び付け、未来を創っていく。「復興」というチャレンジな場面で問われる、このような‟創発”志向は、自分の人生を自らが切り拓く際にも強力なアプローチです。自分はどのような世界で、対象とする要素として何を取り上げ、何を大事にして、誰とつながり、どんな“しごと”に携わるのか…今回参加されたような若い皆さんは、これから人生の中で幾度となく問われることでしょう。

《未来のキャリア開発》について考えさせるヒントが、そこここに埋め込まれているようだった今回のワークショップ。未来を想うこの夏、楽伝に深い余韻が残りました。

次回は、そうした余韻もかみしめながら、楽伝メンバーが未来に想いを馳せた、もうひとつの夏模様をお届けします。
 

*楽伝はコミュニケーション力とキャリアの開発を両輪ととらえ、多様性と変化あふれる社会において力を発揮する人材を育てることを通じて社会に貢献します。 

2015年8月6日

感じたことを“自分ごとのアクションに転換!”

大学2~3年生・前期科目「キャリアサポート」
“キャリアデザイン・ワークショップ powered by Rakuden

“『転じてマジック』のとりこになりました!”
こんな感想も飛び出したのは、自己表現力を磨くキャリアデザイン・ワークショップ(以下WS)。埼玉県新座市にある十文字学園女子大学・前期科目「キャリアサポート」の一環です。
7月15日・22日に楽伝理事・柴山純と山本由紀子がファシリテータとして伺い、4月のWS以降、10人の社会人講師による講義に刺激された2~3年生約60人の学生さんとご一緒しました。

◆第3回WS(7/15)もう1度『転じるワーク』
グループでの他己紹介。うれし恥ずかし!
自分が好きなこと、こだわりをもっていることには強みや
長所がかくれているという信念のもと、
好奇心の対象をきっかけに強みを洗い出し、自分の言葉で
表現する『転じるワーク(転換力を養うワーク)』。
4月に続いてもう1度、成長した自分でチャレンジです。
2度目となると【転じる】スピードはぐっとアップ!
内容が豊かになった方も多くみられます。
>>『転じるワーク』、くわしくはコチラ(第2回WS)

続いてペインタビューで記入した伝版®「種のシート」を
もとに、4人グループでの他己紹介です。ペアのパートナー
さんから、強みに紐づけて持ち味や自分らしさを紹介されると思わず“うれし恥ずかし”の笑みがこぼれます。

さらに次週に向け、自分らしく働き生きていくために役立つ
4つの態度と2つのスキル(6C powered by Rakuden)に
ついて、小さなアクション(第一歩行動)を試みる課題にもチャレンジいただきました。
 
転じるワークの総仕上げ。
強みを表現した伝版®を眺めながら
きもちを言葉に!
◆第4回WS(7/22)キャリアビジョンをイメージ!
いよいよ最終回。伝版®「発芽のシート」を使って「5年後のありたい姿」を仮設定し、卒業までの行動計画を作成します。インストラクションを聴き終えた皆さんがさっと書き始めたのは、これまでの積み重ねの結果でしょう。
自分の強みを、以前よりも自らの言葉で「表現」できているからこそ、その強みを活かす5年後の在り様の表現にチャレンジできる!
限られた時間ながら、ときにイラストやカラーも加えて、
「自分のこれからを、まずは自身に伝える」シートに仕上げました。これまで助け合ったグループの仲間にビジョンと計画を宣言し、WS全日程が終了しました。

WSを終えた学生さんたちの声:
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✓4月には“強み”でうまらなかったお花のシートが、
今回はすぐにうまった!

前回はこんなものが“強み”でいいの?と自信が
なかった。でも今回あらためて自分の強みを考えてみて、前よりポジティブに考えられるようになった。
ちょっと自分に自信が持てるようになったと感じました。

転じてマジック”のとりこになりました!
宿題「6C」に挑戦してみてどうだった?
できたことも、まだ手つかずのことも
グループで振り返る
自分にもスゴイところがあると思えたせいか、
将来やりたいことや、希望がわいてきました。

発芽のシート、すごく自分をのばせる気がして、よかったです。ときどきみなおして、自分のスキルアップ方法を考えたいです。

4月のワークショップの頃は何も将来について考えていなかったのが、今回は深く考えるようになっていて、自分でびっくりしました。 

最初は指名されて皆の前で発表するのが
嫌だったのに、気付けば皆にきいてほしいと思う自分がいて、とてもびっくりしています。
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楽伝の授業支援:先生方との協働を通じたキャリア開発プログラムづくり
キャリア観を耕すきっかけとして、大学ではキャリア系科目、科目外のキャリア教育プログラム、企業等と連携した学内行事、さらには学外体験などの様々な機会が入学後早期から提供されます。学外の刺激も多く取り入れ、多様な業種・規模・経営観の企業の経営者や従業員、起業家、NGO等団体で働く人、様々な国・地域で働く人など、生き方/働き方の多様化を映した多彩なメンバーが登壇します。
楽伝ではこうした豊かなインプットの機会を「まずの就職に向け、刺激を受ける場」に留めず、「刺激された好奇心を、自らのキャリア開発につながるアウトプット(アクション)へ転換する」場へとの想いから、キャリア教育プログラムの「授業支援」にも取り組んでいます。

楽伝理事・柴山:“学生さんの強みと課題を熟知する先生方からご意見をいただき、楽伝が見通す「キャリア開発の在り様のこれから」を共有し、ご相談を重ねることで、プログラムは年々進化してきました。この科目はご担当の先生方と同大学キャリア支援センターが協働で設計・運営をされています。単位を伴う科目としての開講により、若い年次の皆さんも意識をもって受講しているように感じます。” 

いよいよ最終回。ビジョンと行動計画を宣言!
楽伝理事・山本:“先生方の工夫により講義数回
ごとに席替えを行い、前期を通じて異学年・異学科の学生さんたちが幾通りもの組み合わせでグループ交流を体験します。
皆さんの交流の様子や発表を拝見しますと、
3か月の間に、さまざまな他者と交流することで
思いがけない発見があることを何度も体感し、他者とコミュニケーションを図ることに、意欲や自信を高めてこられたことを実感します。”

社会人講師の各講演の前後には「内省」の仕掛けを取り入れ「学びを自分事にする練習の場」を繰り返し提供されています。このような先生方の様々なご尽力と、楽伝ならではのノウハウを、ご一緒によりよい教育プログラムへと編み上げていくこと – 楽伝はこれからも様々な教育の場での「授業支援」に取り組んでまいります。
 
>>楽伝の「授業支援」についてはコチラ 

>>「大学生のキャリア開発における自己能力発見過程」についてはコチラ
   (9月24日、日本心理学会第79回大会にて発表予定)
 
*楽伝はコミュニケーション力とキャリアの開発を両輪ととらえ、多様性に満ち、変化の激しい現代社会において力を発揮する人材を育てることを通じて社会に貢献します。 

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