2019年12月22日

サッカー少年たちと、らくでん式!

2019年を振り返りつつ

年の終わりに寄せて~思い出深かった晩秋、サッカー少年たちとのワークショップについてご報告します。

チームスポーツのサッカーでは、コミュニケーションが本当に大切!
そして、熱心にやるほどに英語が身近になるといいます。

海外の強豪チームに注目して、そのチームの共通言語でのあいさつに親しんだり。
子どもたちのチームに、英語が母語だったり、日常の言葉として使うメンバーがいることもあります。上達して海外出身コーチの指導を受けたり、海外の子どもたちと交流する機会があったり。スポーツに励むうちに、外国語を学ぶ意味を無意識にキャッチしているかもしれません。

「サッカーに限らないことなんですよね。」
と話してくださったのは、東京都東村山市で地域の小学生たちのサッカー指導にあたる高橋豊さん(富士見スポーツクラブサッカー部)。

「子どもたちが生きていくのは、これまで以上に多様な人々と関わる社会だから、コミュニケーションする力も英語も、サッカーに留まらず、“生きる力”になります。」

地域の子どもたちのサッカーコーチを長年務め、ご自身も10代の息子さんをもつという高橋さん。
お仕事では長年、異文化間コミュニケーションを豊富に経験されたとのこと。
子どもたちの時代を見通し、応援する言葉に実感がこもります。

そんなコーチに共感をいただき、富士見スポーツクラブサッカー部主催『らくでん式英語インプロワークショップ(小学校高学年対象)』が開かれました。

◆試合のあとに
お天気に恵まれ、学年対抗試合が複数の会場であった日曜日。
試合を終えた4年生から6年生―13人の少年が小学校の一室に集まりました。
日頃から学年をまたいで活動する仲間!
高橋コーチも出迎え、最初からみんなリラックス。会場はにぎやかです。

◆小学校高学年といえば?
ハハハ・・・(^^♪ 
らくでんスタッフも経験あります。健全な成長の証と喜ばねばではありますが(苦笑)
個人差はありつつも、親にはロクに返事もしないなんてときも少なくない(多い?)お歳ごろの始まり!

「NO」と言いつつ本心では「YES」だったり、「放っといて」ながら「甘えたい」ことも。言葉や態度と、気持ちがうらはらな日常。
とりわけ親へは、それはもう・・・ですね(苦笑)

そこで、サッカーの試合は見守った保護者の皆さんの姿はここにありません。

仲間とコーチがいる安心環境で、よそからやって来たおとな(ファシリテータたち)と関わる時間 !(子どもたちの知らないことですが)保護者の皆さまのお心遣いに支えられて“にぎやかになれる環境が実現していたんですね。

はじめるよ~♪ という ファシリテータの声に「腹へった~」「つかれたー」と子どもたちは返しながら、高橋コーチふくむおとなたちと、簡単な英単語を使って軽くカラダを動かすウォーミングアップからスタートです。

◆高学年だからこそ
ところで、来春には英語が正式な「教科」になる高学年。そんなみなさんにご用意したのは、前半のワークが一息ついたところで、英語を学ぶ意味につながる情報を共有する『シェアタイム』です。

数多い言語の中での英語の位置づけや、言語だけでない非言語(=ノンバーバル)コミュニケーションについてクイズも交えて共有します。

「世界で一番つかっている人が多い言葉はなんだろう?」
「つかれたー」「腹へったー」と連呼しながらたくさんの手が上がります(笑)
・考えこんで正解めざす子
・自分の好きなサッカーチームの国を推す子
・数打ち作戦で連答を狙う子 などなど。

初めは各自のテンションのままに散らばっていた子どもたちが、大声いっぱいにやりとりするうちに、一歩また一歩とにじり寄り、いつしか小さな輪に集まっていました。

クイズに外れるとうなだれたり、即座にまた手を挙げたり、知りたいことが増えて何回も質問したり。感情の抑揚いっぱいにやりとりしている様子が、おとなたちにはとてもうれしいものでした。

1つの国で何十・何百もの言語が使われる地域・国が珍しくない世界で、「人間同士が共通に使う言語をもつこと」のなせるワザを、心のどこかで感じたときだったでしょうか。

◆チームメイトとの体験だから
最後は、サッカーをやるもの同士こその英語表現も取り入れ、チームメイトを紹介する発表にチャレンジ!

定型文と英単語を提示し、オープニングの声掛けからクロージングのあいさつまでを含めた「発表の型」をつかって準備します。

13人の子どもたちを、サッカーコーチ・ボランティアサポーターとして参加くださった英語指導の専門家・らくでん2人のファシリテータたちーあわせて4人のおとながサポートしました。

たとえば
・相手をどう紹介したいか「言葉にする」を応援
・英語表現との「マッチング」を応援
・単語やそのスペルを教え「書く」を応援
・完成したものを「発表する(声に出す)」を応援
など、段階をふんでサポートします。

相変わらず「腹へったー」「たりぃ」「おれのオフ時間が・・・」とか言いながらも、コッチの少年をサポートしていると、「なぁ、これわからん。どういう意味?」とアッチから裾を引っ張られて「単語、これであってる?あってる?」
ソッチからは「もう一回読む。読み方教えて!」
質問もどんどん!
すでに立ちあがって、勝手に発表の練習をしあっているペアも。
イキイキとした空気を感じます。

◆悪態つきながら一生けん命!
さて、いよいよ発表タイム!
やる気満々で立ち上がるメンバーの一方で、「えぇ、ほんとにやるの?」「絶対やだ!」「つかれた~」・・・学年がUpするほどにイヤイヤのアピールもUp!

ところが始まってみると、どうでしょう?
仲間に紹介され、照れてうれしそうな顔。相手を紹介しきってうれしそうな顔!

『やる気満々派』はもちろんですが、『いやいや派』のンバーたちがむしろ一層、この日一番のうれしそうな笑顔に。その表情がなにより雄弁で、スタッフはまるで宝物を見たようなうれしい気もちになりました。

◆自分からコミュニケーション!
つかれた夕方、限られた時間で発表まで取り組むのはなかなかのチャレンジ!
「たりぃ~」「腹へったー」―その文字通りでもあったでしょう。
にもかかわらず、熱心にやりきり、祝福されてのアノ笑顔です。

子どもたちは準備過程で “自ら質問し、情報収集” し、自分個人への “承認やねぎらいの言葉を受けとり”、素直に “感謝やうれしさを表現”! 「1対1でのコミュニケーション」に主体的に取り組みました。

コーチの方々がそばで見守り、あえて席を外した保護者の方々に支えられ、ボランティアサポーターにも応援されて実現した体験。
少年たちのアノ瞬間に関わりをもてたことを、スタッフ一同とてもうれしく思っています。
ご協力いただいたすべてのみなさまに、あらためて心より感謝いたします。

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◆振り返れば2019年は?
コミュニケーションする力の大切さを信じて、各地で子どもたちともご一緒し、刺激をいただきました。
おとなとこどもが関わり合うことで互いに学びが大きいこと、この力を楽しく鍛えることがどの世代にも求められていることを実感した一年でした。

まもなく2020年!
オリンピックの《その先》を楽しむに向けて、準備してまいります。

この一年も、近くで あるいは遠くから、たくさんのみなさまにおつきあいいただきありがとうございました!
みなさま、どうぞよい新年をお迎えください。

20191228日(土)より202015日(日)まで 年末年始のお休みをいただきます。

*楽伝はコミュニケーション力とキャリアの開発を両輪ととらえ、多様性に満ち、変化の激しい現代社会において力を発揮する人材を育てることを通じて社会に貢献します。

2019年12月18日

開催報告:多様な世界に好奇心!

『英語ゲームで国や世代を超えて楽しく交流ワークショップ』
(子どもゆめ基金助成活動/後援:貝塚市教育委員会)

「へぇ~??」 「1個やないんや?!」
子どもたちが不思議そうな顔で反応しているのは 1130日(土)関西でのワークショップの1コマです。

今回らくでんがでかけたのは大阪府貝塚市。
子どもゆめ基金助成活動として、国や世代を超えてのコミュニケーションのきっかけとなる英語インプロワークショップを実施しました。

集まってくれたのは、小学校1年生から中学校1年生までの子どもたち!

そして、地元地域で児童英語教育に携わっておられる方をはじめ、英語を仕事や生活の一部でコミュニケーションの道具として使う経験をもつおとなのみなさんも、サポーターとして参加くださいました。今回はご縁あって、インドとインドネシアから日本に来られた海外出身のお二人を“ゲスト”にお迎えし “国や世代を超えて楽しく交流” にぴったりの多様なお顔ぶれとなりました。

◆「1個じゃない」ものって?
かんたんな英語表現をつかって交流ゲームでカラダを軽くうごかしたのち、ゲストのおふたりにきいてみました。
「(お国での)ふだんの生活では、いくつの言語を使ったり見聞きしていましたか?」
インドネシア出身の方は「3つ!」、インド出身の方は「5つくらいかなぁ?」とのこと。身の回りでごくあたりまえに、一つではない言語が話されている環境にいらしたのですね。
実はこのお返事を聞いてのこどもたちの反応が、冒頭にご紹介した「1個やないんや?!」だったのです。

10を軽く超える言語が記されたインドのルピー紙幣
ちなみにインド人のニールさんは、インドの中でも北部に位置する、首都デリーのご出身。大好きな日本のゲームデザインを学びたくて日本に来られたそうです。

インドでは多くの州で「ヒンディー語」が主要な言語として話されています。
大都会のデリーには、広いインドの各地から人が集まっていますから、ごく身近に「テルグ語(インド南部の州で話されることが多い)」や「ベンガル語(インド西部で話されることが多い)」を話す人もいたそうです。

そして「英語」も公用語の一つですから、学校や議会、あるいは日常でも、出身地域が異なるインド人同士のやりとりで、ごく普通に使われているそうです。そんなことから、ニールさんが日本に来てとても驚いたことの1つは「英語を話す人が大変少ない!」だったそうです。

今回のワークショップでファシリテータを務めたユッキーも、以前にご紹介の通り、インドに滞在していたことがあります。
ときおり、同僚や大家さんのお宅でのホームパーティに招かれることがあったのですが、ご家族同士の会話の中でも、まるでテレビのチャンネルを切り替えるように、話題や顔ぶれによって、突然言語が切り替わる場面によく出くわしたものです。
日本で暮らしていると、たとえば「日本=日本語」というように、「国」と「言語」が“1対1”で対応している気になりがちですが、世界を見れば、実はそれは少数派なんですね。

なにしろ、研究者によって数え方に違いはあるものの、世界の言語総カタログともいわれるEthnologueの第22版によれば、7,000を超える言語が把握されているとか。

この日のゲストのみなさんの出身国でいうと、インドネシアは700以上の言語があるといわれます。インドには、地域ごとの方言をのぞいた「指定言語」だけでも22種あります。

私たちホモ・サピエンスは、本当に多様な進化をとげ、その土地の気候や生活、文化に根差した「ことば」を紡いできたのですね。

◆英語のになう役割
ところで、「母語」として話す人が多い言語は、何語でしょうか?この日のワークショップでも、こどもたちにきいてみました。

子どもたちからは
「英語?」
「ロシア語?」など、次々に言語があがってきます!

母語で分類すると、もっとも話す人が多いのは中国語。続いてヒンディー語、そしてスペイン語と英語が同じくらいで続きます。

少しわかりやすく「もし世界が40人=教室1クラスだったとすると・・・?」とおきかえてみましょう。母語で分類したときにもっとも多い「中国語」はおよそ『40人中8人』。続く「ヒンディー語」は『3人』くらい、「スペイン語」と「英語」はだいたい『2人ずつ』くらいでしょうか。

とにかく世界にはたくさん言語がありますからね。トップ3の言語の人をあわせても、けして多くありません。いってみれば大半は「その他のいろいろな言語」です。

つまり、母語だけでコミュニケーションをとろうとすると、通じる相手はとても限られてしまいます。

一方で、母語はそれぞれ異なるけれど、仕事や生活などにおいて「実用レベルで英語を話す人」は、世界でおおむね4人に一人といわれています。

すると、40人クラスにたとえるなら、母語として、または、母語としてではなくとも「英語を話す人」があわせて8人くらいはいるということ。その8人は、それぞれの母語をもっていますから、どうでしょう?英語を介することで、つながることのできる人がかなり増えそうではないですか?!

子どもたちは、そんな世界の「ことば」の実情にふれつつ、インドやインドネシア出身のゲストのみなさんとふれあったり、実用英語を駆使するおとなたちと交流しました。
英語と日本語を交じえながら会話を楽しむ中で、“英語はいろいろな人とつながる便利な道具なんだなぁ”ということを多少なりとも肌で感じてくれたのではないでしょうか。

◆意欲は、伝え合うことへの好奇心から
今回のファシリテータ
左よりユッキー&えみこさん
今回参加してくれたのは、これから学校で本格的に英語を学ぶ年齢のお子さんたちです。

もちろん一つの言語を習得とするとなれば、体系立てて文法を理解したり、それ相応の反復練習をしたりといった日常的な「努力」が多かれ少なかれ必要となるでしょう。

そんなとき
「●●が大好きだから、英語で~~な人とつながりたい!」
「✦✦を知りたいから、・・・な世界に行ってみたい
というように、好奇心がきっと英語を学ぶ原動力になってくれることでしょう。

子どもにとってもおとなにとっても、「好奇心」は「行動するための力を生み出してくれるもの」。私たちが“楽しく努力すること”を可能にしてくれます。
子どもたちはやがて、英語を使って新たな友人と出会うことで、自分の世界を広げ、また、新たな好奇心を自ら育てていくことでしょう。

◆「つたえあえば、人生がひらく」
ー これは、わたしたち らくでん のモットーです。
英語インプロワークショップでの子どもたちの体験は、彼らの人生の中でいえば、「たかが一度きりの小さな点」ですがそれは「されどたしかな小さな点」!
英語が「つたえあうための道具」であることを肌感でとらえる機会をもっていただくことで、子どもたちがやがて豊かな人生をひらくための小さなきっかけになることを願ってやみません。

そんな想いをこめて、ワークショップはみんなでの“拍手”と“High Five!(ハイタッチ)”で終了しました。

*楽伝はコミュニケーション力とキャリアの開発を両輪ととらえ、多様性に満ち、変化の激しい現代社会において力を発揮する人材を育てることを通じて社会に貢献します

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