2019年10月18日

伝えたい!がひらくコミュニケーションの話①

いきなりヒンディー語で、がちょっとうれしい♪

英語も日本語と同じ!
だれかとコミュニケーションをとりたいときにつかえる道具のひとつ♡

道具は、ほかにもありますね。
たとえば「目は口(言葉)ほどにものをいう」なんていわれますし。

なかでも、子どもの顔は正直ですね(^^
しゃべっていないときの口だって、うれしそうに上がる口角に、不満げなへの字口
顔やからだの向きで距離を感じたり、うなづきの深さでわかることも。
表情やジェスチャー、姿勢など・・・ノンバーバル=非言語》もなかなか雄弁です。

バーバルとノンバーバルが補いあって初めて、私たちはつたえあうことができる!

伝え合う力を育む《らくでん式英語インプロワークショップ》で 英語という言語だけでなく、ノンバーバル・コミュニケーションにも触れるのは、その大切さやおもしろさを、らくでんのスタッフ自身が経験してきたからです。

今号では、次回ワークショップ(1130日@貝塚市民文化会館)を担当する山本ユッキーがご自身の体験を振り返ります。

ユッキーは、走ることが大好き・カレー大好き・スパイス大好き・インドが暮らすほど好き な異文化間コミュニケーション・ファシリテータそれではユッキー、お願いします!

◆いきなりヒンディー語で!
はい、承知しました!
インドでは、これまでに2回暮らしました。その2度目のときの想い出をご紹介します。

当時はインドの現地企業で働いていました。スタッフのほとんどがインド人というその職場で、ノンバーバルの大切さをあらためて感じたできごとがありました。

仕事上のコミュニケーション言語は英語とされていましたが、管理職のメンバーはともかく、ローカルスタッフは英語が堪能ではありませんでした。
そこで、ローカルスタッフにこちらの伝えたいことを理解してもらいやすいよう、私も簡単なヒンディー語(現地の言葉)を覚えました。ちなみにヒンディー語を母語とする人の数は、中国語についで世界で2番目に多いんですよ。

文化ちがえばお祭りもいろいろ
カラフルな粉を塗ったり
色水を掛け合うヒンディーの春祭り
「ホーリー」に現地の仲間たちと(2014年)
それから、彼らのあいさつの仕方や現地風のうなづき方、あいづちのタイミングなど、ノンバーバル表現も、見よう見まねで取り入れて使ってみるようにしました。

彼らのもっとも特徴的なノンバーバル表現は、OK!」と同意や承認の意思表示をするときに、首を横にやや傾けること!
日本の文化では、うなずくときは「首を縦にふる」ですよね。ですから私も最初はとまどいました。でもこの特徴的な動きを身に着けると一気にインド人っぽく見られます()

そして、首を傾けるときに軽~く目を閉じると、「よ~く、わかった」ニュアンスになるようです。
日本でも深くうなずくときには、自然と目を閉じていませんか?そこは、ちょっと似ていますね。
文化ちがえば料理もいろいろ
こちらは南インド地方の料理
真ん中のとんがり帽子はDosa
好きなおかずといっしょにいただく

しばらくして、妙なことが起きはじめました。本当は英語が話せるはずの現地スタッフが、ときおり私に当たり前のように「ヒンディー語」で話しかけてくるのです。
もちろん、私のヒンディー語は基本的なあいさつ表現どまりですから、ヒンディー語で仕事の用件をふつうに話されても、いやはや わからない~💦

そこで、相手の話の切りのよさげなところで
「ごめんね、わかんなかった。英語でもう一回お願い!」と頼むわけです。
すると相手は、そのタイミングで初めて「あちゃ~!」といった照れ笑いをして、Madam, sorry, sorry!」と言い直してくれるのでした

無意識にローカル扱いで、英語でなくヒンディー語で話しかけてくれていたんですね。
彼らのコミュニティの中でそのとき「相手にとって自然な」やり取りをできていた、ということなのだろうと自己分析しています。なんだか愉快で、そして、とてもうれしくもある経験でした。
ノンバーバルは雄弁ですね!
文化ちがえば食べ方もいろいろ
レモンライスとサンバル
(スパイスの効いたスープ)
右手で「いただきます!」

◆バーバルとノンバーバルは両輪!
一方で、若いころ受験勉強で学んだ「読み書き文法」には感謝しました。
当時、いざ仕事や生活の場で言いたいこと伝えたいことがあるときに、たどたどしいながらも、様々な国籍の同僚、上司とコミュニケーションを深めることができたのは、学生時代の蓄積があったからこそです。

とりわけビジネスでは、ちょっとしたメールのやりとりでも、たとえば時制が間違っていると、大きな行き違いになりかねません。学生時代は受験のための勉強でしたが、正確な読解力、英作文力は大きな助けとなりました。
言語も大切、言語を支える文法も大切!

英語という言語での表現と、ノンバーバル/非言語の表現が、コミュニケーションの両輪になるのだと実感しています。

◆英語への好奇心を育む近道
さて、1130日は大阪府貝塚市民会館でのワークショップに伺います!
今回のワークショプには、ふだんの生活で英語を使っている、いわば“英語が日常”なゲストも子どもたちをサポートしてくれます。

英語を“使って”だれかと話してみることは、子どもたちの“英語への好奇心”をはぐくむ近道! 一方で、なかなか日常生活で英語を使う機会は創りにくいものです。
お子さまが “ホントに英語でやりとり!” する楽しい体験のチャンスとして、こうしたイベントの機会をぜひご利用ください。きっと学校や英会話教室など、ふだんの学び場での学習意欲に、よい刺激になりますよ!

>くわしくはコチラ
   1130日(土)@貝塚市民文化会館コスモスシアター
  らくでん式英語インプロ 
   『英語ゲームで国や世代を超えて楽しく交流ワークショップ』 
    (後援:貝塚市教育委員会/子どもゆめ基金助成活動)

*楽伝はコミュニケーション力とキャリアの開発を両輪ととらえ、多様性と変化あふれる社会において力を発揮する人材を育てることを通じて社会に貢献します。

2019年10月4日

2019 ACCJ Kansai Women in Business Summit にて

パフォーマンスを向上させる
“異世代間の相互理解とコミュニケーション”をひもとく

924日(火)ACCJ Kansai Women in Business Summit在日米国商工会議所「関西ウィメン・イン・ビジネス・サミット2019」が大阪で開催されました。

多様な組織からビジネスパーソン 約200名が参集。
「インクルージョン」によるビジネス推進~あなたから始まる~ をテーマに、様々な組織・職責にある方々の経験に触れ、インクルージョンの力をチームパフォーマンスやビジネスに活かす職場づくりを模索する様々なセッションを共有しました。

◆ギャップを埋める力
たとえば「新たなチャレンジ」と「現状」のあいだに、そして「人」と「人」のあいだになど。多くの場にみられる「ギャップ」をビジネスに活かすために重要なことは?

グーグル合同会社 日本法人代表 ピーター・フィッツジェラルド氏はオープニングスピーチで、多様な個性のメンバーが力を発揮して挑戦しうるためには「心理的安全性」が常に担保されていることが重要であると熱い語りで魅力的に説かれました。

◆世代間のギャップへの処方を考える
今回、楽伝の理事長・西道広美(株式会社伝耕 代表取締役)は、最初の全体セッション「パフォーマンスを向上させる異世代間の相互理解とコミュニケーション」にて、パネルディスカッションのモデレータを担当しました。

AIGハーモニー株式会社、日本イーライリリー株式会社、株式会社TAM、ヒルトン大阪から登壇の、世代の異なる4名の方とともに平成世代・昭和世代のギャップに焦点をあて、その後のセッションへの問題提起となる70分を会場の皆さまと共有しました。

©ACCJ WIBS Kansai
モデレーションにあたる西道は、平成世代・昭和世代それぞれの仕事に対する認識・態度・行動のエピソードをおききするなかで、会場の皆さまも「そういえば、自分の周りにもあるある~」と自分ごとに巡らしやすいよう留意して進行していきます。

◆ギャップに触れるとき
まず両世代の大きなギャップとして上がったのは?
ー インターネットとスマホで身近になった「検索による情報収集&発信」への態度の大きな違いです。


わからないことは検索する、ネットでつながった仲間内で質問するという「情報先行型」の行動をとり、それをビジネスの知見として発信することが当たり前の平成世代。
一方 昭和世代は、情報とは人間関係を構築した後に一種のリワードとして提供されるとし、得た情報の発信にも社内での場や序列を考慮した“期待される態度”重視の「人間関係先行型」

両者が会議や仕事場で対峙して感じたとまどいや困惑、落胆、直面した怒りの感情などがオープンに語られました。

◆橋渡し役の存在
©ACCJ WIBS Kansai
そうした世代間ギャップへの対処法のひとつとして興味深いことは、双方のキャップを理解する「中間的」立場の方々の存在です。

たとえば、世代間ギャップから問題が生じそうな状況を鋭く察知し、即興で間をとりなしたり、大先輩に声をかけにくい後輩の気持ちを汲んで紹介役を買って出たりなど。「中間的」方々が折々にコミュニケーションをつないでくださったといいます。

世代間の軋轢をおそらく経験されてきたからこそ、差し伸べられたサポートの数々- 会場の皆さまにも思い当たる存在や場面がおありのようです。

◆変化を肌身で感じて変わる
それでは、昭和世代の方はどんな変化を経験されてきたでしょう?
1989年に一世を風靡したドリンク剤のキャッチ「24時間戦えますか?」を地で行く“前の世代”に薫陶を受け「仕事>プライベート」の価値観を形成したころに、新たに目の前に現れたのは正々堂々とプライベートの用事を優先する平成世代。劇的なギャップ時代の変化を肌身で感じ、「変化しなくては!」と自覚的にご自身を変えてこられたとのこと。

さらに、海外での業務経験が豊富な方は、24時間戦え~」派と「プライベートと仕事のバランスが大前提」派、その両方のビジネスパーソンを同時期に観察する機会を多く得たとのこと。その過程で「自分はむしろ後者の方がハッピー」と認識し、その複眼的な視点をチームメンバーや部下の方とのコミュニケーションに活かしてこられたそうです。

◆ギャップの乗り越え方
©ACCJ WIBS Kansai
最後にこれまでのお話をふまえ、ギャップの乗り越え方について意見を共有し、セッションは終わりました。


平成世代からのアイディア:
l  「世代が違う=ある種の異文化理解」とマインドセットを変えると気が楽になり、コミュニケーションの仕方や解釈に幅が出る。
l  挨拶をして顔を覚えてもらう―個人として認識してもらった上で、わからないことは率直に教えてくださいとお願いする。
l  アプローチの難しい大先輩には「中間的」立場の少し上の先輩に紹介を依頼するなど、うまく橋渡し役になってもらう。

昭和世代からのご意見:
l  「みんな同じ」と思い込むことにこそビジネスのリスクが潜んでいる。まず違いを認識すること自体がビジネスチャンスへの一歩。違いを認識し、それを乗り越えることは、手間も時間もかかりつい避けたくなるが、ビジネス全体に非常に重要な示唆を生むという信念をリーダーは持つべき。
l  強い組織作りでは、自分がどうかだけでなく「ギャップを乗り越えられる人材をどう育成できるか」が一つのテーマ。今までの経験を活かし、新たな人材を育成していきたい。

続く全体セッションⅡでは「インクルージョンの力:私のキャリアを振り返って」と題し、Inclusionに関わる失敗談や成功談をそれぞれのパネリストが熱く語られ、深い知見が提供されました。
また3つの分科会で参加者の皆さまは、グループワーク等が組み込まれたプログラムで、よりアクティブに学びを内在化されたことでしょう。

◆“あなたから始まる”
WIBSの会場では愉快な再会も!
西道は当日を次のように振りかえります。 

“限られたお時間ながら、濃厚で示唆的な意見が交わされたように思います。
進行を担当しながら私自身、平成世代の認識や対処方法に感心し、昭和世代の変化と決意に強く心惹かれるものがありました。

今回のACCJ WIBの副題には“あなたから始まる”とあります。ご参加の皆さんが「あるある~」という共感や「なるほど~」という納得、そして「いただき~」という示唆を得るような、ご自身の「始める」につながる学びのお届けに、少しでもお役に立てたようでしたら幸いです。”

*楽伝はコミュニケーション力とキャリアの開発を両輪ととらえ、多様性と変化あふれる社会において力を発揮する人材を育てることを通じて社会に貢献します。


2019年9月26日

《後編》 蔚山大学第1学期の教室より

日本語専攻者のキャリア教育x伝版®

右のお写真は、蔚山大学で学ぶ日本語専攻の学生さんたちが学ぶ科目「日本市場開拓実務」での語り合いの様子です。

前号では「自己探索」のプロセスに『伝版®』がどのように活用されているかをご紹介しました。後編をどうぞお楽しみください!

ところで、学生の指導にあたられる小松麻美先生とは、共同研究をさせていただいた経緯があります。現在の社会状況を背景に、大学生がキャリア開発力をやしなう必要性をふまえ、日本語科目におけるライフキャリア支援の可能性を検討しました。その内容は、下記らくでんのブログでご覧いただけます。

(言語文化教育研究学会第三回年次大会にて)

◆『伝版®』を拝見しながら
さて、『伝版®』を活用した2回のセッションも含めすべての講義を終えた学生さんたち。
今回はみなさんに同意をいただき、記入した『伝版®』をらくでんチームも拝見しました。

「川のシート」「花のシート」を経て記入された「発芽のシート」からは、直近・短期・中期とタイミングをイメージしながら「日本・日本語」と「自分の人生」を対象範囲を狭めることなく模索しているご様子が伝わってきました。

とりわけ両国の関係性の現状を考えると、日本語専科の学生さんたちは、例年以上に切実に「自分と日本・日本語」の関係性を自問自答していることでしょう。
このような時期に小松先生のファシリテーションのもと、多様性を受容し活かす場を大前提にしたこの講義の場は、安心してライフキャリアに想いをめぐらし、価値観の異なる学生同士で交流できた時間として、とても大切なものだったことと拝察しています。

◆語り/ナラティブがもたらす学び
1学期の講義を終えられた小松先生に、らくでん理事・柴山がお話をうかがいました。

らくでん/柴山(以下「楽伝」): 今年度の学生さんたちのご様子はいかがでしたか。

小松先生(以下「小松」): 前半の模擬面接の課題で自分が選んだ志望先にしばられず、豊かなビジョンが、学期後半の伝版®ワークで出たケースが多かったことが印象的でした。

楽伝: たとえばどのようなケースですか。

研究室にて
小松: ある学生は当初、ホテル業界で専攻や特技を活かして働くとして、大変具体的で説得力のある自己PRを語りました。一方、自己探索した後のグループ交流では、ホテルとは関わりのない“複数の働き方”についても語ってくれました。

楽伝: どうしてでしょうか。

小松: 伝版®で自己探索し、ナラティブに他者に共有する過程で、短期的な出口目標に留まらず、中・長期的スパンでの展望を意識したり、複数の選択肢をもつことに目が向きやすくなったように思います。

楽伝: いろいろな選択肢を吟味されたのですね。今年、日本の大学のキャリア講義で感じたことですが、生まれたときからスピード感ある変化のなか育った今の学生さんは、小さく試しながら臨機応変に道を変えたり、異質ないろいろなことに同時にチャレンジするような、時代ならではのキャリアのありようを無意識のうちに、一定、前提にされていて頼もしく思います。

小松: はい、今回の学生たちにもそれをビジョンとしてナラティブに他のメンバーと共有できる学生もいました。一方で、たとえば「親」などの目上世代の価値観にあわせたり、社会の期待と本人がとらえたキャリア像にはめたキャリアビジョンに固執してしまう学生がまだ少なくありません。

楽伝: はい。分の内面の声と語り合う時間をもつことや、時代をリアルに受けとめて生きている他者と交流する機会が大切だと強く感じています。学生さんに限らないことですが(笑)

小松: そうですね。「自分の人生について人前で本気で話したのはこれが初めて!」と言っていたある学生は「いろいろな人の前で話したら、そんな人生を本当に生きたくなった。」と。

楽伝: 語った自分や自分のプランを大切に思うようになられた?

小松: 語ることで他のひとに祝福され、具体的なアドバイスを得たりしたこともですし、想いを込めて語る他の人の発表をきいて刺激を受けたことも大切だったのだと思います。

楽伝: 心が動いた、のですね。ところで、2学期にも『伝版®』を活されるとうかがいました。次はどんな場面での使われるのですか。

小松:2年生の「会話」の授業で使う予定です。学生たちは「人生(ライフストーリー)」をテーマに、それぞれ自分の「人生の先輩」にインタビューをして発表します。そのインタビューの結果を持ち寄った際に、生きていく上でのヒントやいま抱えている悩みへのアドバイスなど、インタビューを通して心にささったものを「木のシート」に投影することで、自身がインタビューで得たものを、より自身の表現におきかえて可視化することを期待しています。

楽伝:楽しそうですね。社会人の方にもよくお使いいただきますが、「木のシート」は自分を投影しやすいメタファーです。外部に発見したものを、外から借りたままでなく、「自分」でろ過し、自分ごとにして語ることをサポートしてくれます。

小松:2年生の2学期は大学生活にも慣れ、また兵役を終えて戻ってくる学生もいます。卒業後の進路(ありたい自分の姿)を見据えながら、あらためて大学生活を見直す時期ですね。『伝版®』の力を借りながら、ゆるやかに学生のライフキャリア展望を支える学習活動ができればと考えています。

楽伝:転機に人生をみつめる時期にお役に立てることがうれしいです。また折々にお話しできることを楽しみにしております!今日はありがとうございました。 


*楽伝はコミュニケーション力とキャリアの開発を両輪ととらえ、多様性と変化あふれる社会において力を発揮する人材を育てることを通じて社会に貢献します。

2019年9月20日

日本語専攻者のキャリア教育x伝版®

蔚山大学第1学期の教室より(前編)

大学生のみなさんが熱心に書き込んでいるのは『伝版®』の1つ、発芽のシート🌱(右写真)

ここは蔚山大学(韓国 蔚山広域市)。
日本語専攻者のライフキャリアデザイン力を重視した科目「日本市場開拓実務」の1コマです。

小松麻美先生(蔚山大学・日本語日本学科)の指導のもと学ぶ学生は女性11人と男性3人。

日本語専攻の4年生たちに、国際関係学科や経済学科の学生や日本からの留学生も加わって、日本語への興味や学ぶ目的はそれぞれです。
日本語のスキルにも幅があります。

そうしたメンバーでライフキャリアを考えるグループワークを重ねるため、多様な価値観・人生観に触れることができるのも科目の魅力です。

◆ライフキャリアデザインの視点で
蔚山大学キャンパス
学期の前半は、日本企業研究や模擬グループ面接など、卒業後に日本と関わりをもって働くキャリアを具体的にイメージします。
取り組むうちに、社会に出る実感がわいたところで、学期の中盤からは『伝版®』を活用したワークショップで、ライフキャリアについて学生が立ち止まって考える機会を提供します。

〇523
伝版®の「川のシート」をつかい、これまでの経験を棚卸しながら、自分の好奇心や価値観を再発見しました。

4年生になり“狭義のキャリア開拓=卒業後まずの就職”に意識が集中しがちな学生さんも、あらためてこれまでの経験を思い起こし、自分の好奇心を探索すると、「なぜ自分は日本語を学ぶことにしたのか?」その意味を掘り下げてとらえなおすことができます。

〇6月13日
3週ほど時間をおいたこの日は「花のシート」「木のシート」で自分の価値観を明らかにし、ライフキャリアビジョンをイメージします。さらに「発芽のシート」で中期・短期の“ある地点”の自分をイメージすることで、自分自身を“ストーリーのある生身の人物像”としてとらえ、自分と他者に語る準備が整っていきます。

◆「語りによる学習/ナラティブ学習」を促進
「自己探索」は、キャリア考える上ですっかり親しまれたアクションですが、ともすると形だけの棚卸しに留まったり、気持ち重い作業となりがちです。

そんなとき、自然(木や花など)をモチーフにしたグラフィック『伝版®』のメタファーや色の持つ力を借りると?
ー自己の内面を言語化するプロセスの負荷が下がります。

また、同じフレームなのに、異なる内容が書かれた他者の『伝版®』に触れることで、他者との交流が深まり、学びが起動しやすくなります。こうした結果として、自己探索が深まりやすくなるのです。

◆学期末、学生さんの声より
〇就職のことはもちろんですが、今後自分がどうやって生きていくかついてもたくさん考えることができました。

〇職業というと安定ばかりで候補を絞り込んでいたが、授業で考えるうちに、自分がもっと惹かれて胸がときめくものがあると気づきました。どちらと今決めるものでないけれど、自分の未来x職業について本当に真剣に考えてみることができてよかったです。

3週間前は漠然とキーワードを書いていた自分だったが、最後の授業でビジョンを設定すると(あのキーワードが)具体的な計画や未来像になって心に帰ってきました。資格を目指す、この仕事を志望する、お金を貯める・・・いろいろなことの理由がはっきりしました。

〇この講義は、自分についての考えと、他の人への考え、どちらも話せる時間でとてもよかったです。

〇先輩たちの発表をきいてとても刺激を受けました。日本語で上手に発表する様子もうらやましく、私もできるようなりたいと思いました。

さて次号では、指導にあたられた小松麻美先生におはなしをうかがいます。
どうぞお楽しみに!

*楽伝はコミュニケーション力とキャリアの開発を両輪ととらえ、多様性と変化あふれる社会において力を発揮する人材を育てることを通じて社会に貢献します。

2019年9月12日

英語でコミュニケーションしてみる(岡山県奈義町の取り組み)

小中学生の英語学習意欲醸成に向けた試み~学会発表を終えて

多くの子どもたちにとって、英語で発話することは非日常”です。
文法力や語彙の多い少ないに関わらず、単語だけの発話や1往復で終わるやりとりになったり、伝えたいことがなかったり。また、表現がわからなかったり自信がなくて、沈黙したり。英語を使うことに前向きになれないことは少なくありません。

では、もし実際に英語を使って他の人とコミュニケーションした!という楽しさや自信を一度でも体感したらどうでしょう?

「もっと話したい!」
「今度はもうちょっとちゃんと伝えたい。」
「言ってることをもっとわかりたい。」
そんな「~したい」気持ちがうまれる?!

ひいてはその「~したい」に役立つ知識である英語表現・文法力・語彙を見る目が少しかわり、知識を獲得する意欲や、知識を使う(発話や発信する)意欲、使うスキルを磨く意欲へとつながる

ーそんな学ぶ意欲に刺激となる体験をどのように組み立てるかに我々はこだわってきました。

8月18日(日)早くも秋の空気を感じた弘前大学文京町キャンパス(青森県弘前市)。

楽伝は大会2日目を迎えた全国英語教育学会第45回研究大会にて、今年3月にこうした考えのもと組み立て実施した2時間のワークショップに参加した子どもたちが感じたことを考察し、発表しました。
*『楽伝/らくでん』は特定非営利活動法人楽しく伝える・キャリアをつくるネットワークの愛称です。

当日は小学校から大学まで、様々な教育機関で英語指導をされる教員の方々を中心に、研究者の方、教育行政に関わる方など、25名の先生方がお越しくださいました。 
>発表要旨はコチラ3ページ/8月18日第3室【指導法】⑨)

ワークショップの舞台は?
岡山県の奈義町。JR岡山駅からは車で2h、約2400世帯6,000人が暮らす町です。
海外からも来訪者多いNagi MOCA(ナギ・モカ/奈義現代美術館)や、日本トップクラスの合計特殊出生率2.812014*参考/2013年日本全体:1.43)で知る方も多いでしょうか。
>奈義町 についてはコチラ

中学生を主な対象とするワークショップHave fun! 英語って楽しんじゃけん(^^)/(主催:奈義町教育委員会)』には、町立中学校に通う日本人生徒26名(1年生6名、2年生8名、3年生12名)と町立小学校の日本人児童2名(3年生1名、5年生1名)、あわせて28人が参加。

行はらくでん式英語インプロのファシリテータが主に担当し、町の児童英語指導者の方々や大学生ら日本人5名と、同町の国際交流員であるオーストラリア人1名の計6名の方々が、英語指導の補助と一部ワークの進行を行いました。この方々にはらくでんによる事前研修を実施しました。

> 事前研修の模様はコチラ

プログラムの設計
今回は、実際に身近な仲間と「英語でコミュニケーションしてみる」練習のできる機会に!とのご期待を地域からいただきました。そこでプログラムには、即興演劇の手法(improvisation)も取り入れ、5~15分の短い英語ゲームを重ねる《らくでん式英語インプロ》を採用。
らくでんならではのアプローチとして、英語で日常生活や仕事をしている人々の知見に学び「会話の連続性を支える表現やコミュニケーションスキル」に着目しました。

具体的には下記の点を重視し、<知識の共有>と<英語ゲームを通じた実践>を組み合わせて構成しました。
コミュニケーションの基本作法を学ぶこと・会話の連続性を支える英語応答表現の運用に親しむこと の両方の学習体験を積み重ねる
〇 最終的に、2分間の連続応答を体験する
〇 他者と関わりあいながら学び、振り返る時間をもつ
〇 身近な題材・設定で学ぶ
〇 即興性と遊戯性あるワークで、学ぶことを楽しむ 

カラダを動かしたり、声を出したり力を合わせたり!いろいろな英語ゲームを楽しみ、さいごには、仲間と協力して準備した英語を使って“会話のキャッチボール”にチャレンジです。

子どもたちが感じたこと
開始時と終了時、連続応答やつなぎ表現についてたずね(質問紙調査形式)、事前事後を比較考察しました。
2分間連続応答をした経験がある」のは、開始時は回答者の20%でしたが、終了時63%に増加
英語での応答で自分が使えるつなぎ表現がある」との回答は、開始時24%から終了時67%に増加
*今後について「もし英語で会話のキャッチボールをするとしたらできそうか」と5段階スケールでの質問には、「できそう」との回答は開始時・終了時とも2名で変わらないものの、「ややできそう」との回答は、開始時3名から終了時15名(回答者の56%)に増加
*2時間の体験全体については、約9割の子どもたちが「楽しかった(48%)」又は「やや楽しかった(42%)」と回答 

学会発表を終えて
学会ではワークショップでの英語ゲームやワークに多くのご関心をいただきました。
また、英語そのものから一歩立ち戻り、「コミュニケーションの基本作法を重視すること」を新鮮に感じるとともに共感もいただいたようです。

そのほか、多様性を活かすコミュニケーションプログラムととらえ、日本在住の日本語・英語以外を母語とする子どもたちのためのワークショップの可能性や、多様な背景をもつ子ども・大人のためのプログラムの可能性についてのご期待や助言など、さまざまな知見をいただきました。

ご関心を多くいただいた点については、さまざまな子どもたちの「やりたい!」のきっかけづくりに役立つよりよいご紹介の方法も含め、今後検討していくつもりです。

子どもたちのその後
ところで、2時間という枠内で、2分間の応答までをゴールとしたこのプログラム。
楽しいだけで終わらない!持っている知識や今日身につけた知識を実際に使うために汗もかいた子どもたちでした。
どんなチャレンジも承認される場で、学齢を超えた仲間と遊戯性あるワークを交えてチャレンジしたからこそがんばれたことでしょう。

ワークショップから約5か月
その後も奈義町で子どもたちと向き合う児童英語指導者の方からは、子どもたちがチャレンジした過程で自信を高め、意欲を言葉で語るようになっていること、あの場での応答の完成度に関らず英語に前向きな気持ちになったことなどを伺っています。

それでは最後に、子どもたちのコメントをご紹介します。
 ・楽しかった。ニセモノ紹介クイズは友達同士で簡単にできるのでまたやりたい。
 ・あいづちをするのにもいろいろあるってわかった!
 ・いくつもの表現を覚えて帰れた。ふだんもつかってみたい。
 ・なんか、すごくしゃべった!
 ・英語が苦手でも、英語ができた気になった。
 ・ペアで言葉のキャッチボールができた。会話をつなげる言葉がわかった。
 ・つなぎ表現のわかる数が少しふえた!楽しかった。
 ・英語での会話が、前よりも積極的にできてたのしかった。
 ・今度は実際に外で外国人としゃべってみたい。
 ・もっともっと話せるようになりたいと思うようになった!
 ・またやりたい!
楽伝はコミュニケーション力とキャリアの開発を両輪ととらえ、多様性と変化あふれる社会において力を発揮する人材を育てることを通じて社会に貢献します。


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