2019年1月18日

中学生のみなさんと『Have fun!英語って楽しんじゃけん(^^)』

開催レポ 《奈義町(岡山県) x らくでん式英語インプロ~その3》

暖冬にもいよいよ寒波到来の12月、9カ月ぶりに奈義町を訪ねました。JR岡山駅から車で2hほど。那岐山の麓に広がる山なみのうつくしい里です。

この地に住みながらのグローバル人材育成を推進している奈義町。らくでん式英語インプロのワークショップ『Have fun!英語って楽しんじゃけん(^^)』もその一環として町が主催。運営サポーターである奈義町国際交流ネットワーク*のみなさんと連携し、楽伝はプログラムの開発と実施をすすめています。
*奈義町国際交流ネットワーク: 外国人との相互理解や交流を推進、発信し、異文化に対する意識の向上を図ることを目的に町内で活動しているみなさんの集まり。 

◆始まりは昨年度
奈義のコミュニティでは異世代交流が文化のように根付いています。日本トップクラスの合計特殊出生率を支えている(くわしくはコチラ)資源のひとつといえるでしょう。

昨年度の2回のワークショップではその特性を活かし、英語に距離を感じている子どもや社会人も含め“老若男女が交流”し、英語コミュニケーションに親しむ場としました。1回目は小学生から社会人まで24人が参加。2回目は規模を拡大し、4歳から60代まで56人で盛り上がりました。年齢も英語力の段階も幅広い参加者ですが、そこはらくでん式のユニバーサルなプログラムとファシリテーション♪各世代の方々が楽しまれた模様は下記ブログでご紹介しています。
Have fun!英語って楽しんじゃけん(^^)  ☞ 2018年1月 / ②20183

◆新たな試み
とりわけ中学生にとって昨年度のワークショップは“科目として勉強する=学ぶ英語”から“コミュニケーションする=つかう英語”の楽しさへと景色が広がり、「もっと英語をつかってみたい!」と心の動く機会になったようです。
ワークショップ後も中学生の様子を見守ってきた奈義町国際交流ネットワークの皆さんのお考えをもとに、今年度は中学生に焦点をあてることが決定しました。

ところで中学生といえば、文法・語彙の知識が増えてくるころ。新学習指導要領も示すよう、知識習得を超えた、外国語による“コミュニケーション能力”の育成が大切な時期ですね。英語をつかって他者と伝え合う(即興性を伴うやりとりをする、意見を交わすなどの)力、すなわち言語をつかって「活動する」力を育むことがこれからの課題になっています。

新たな試みはもう1つあります。コミュニティの方々が“参加者”というポジションを超え、子どもたちの英語をつかう力を育む場の進行に参画すること。12月のワークショップではまず試験的に、奈義町国際交流ネットワークから3人のメンバーが英語ゲームの「進行役」を体験することに!
事前オリエンテーションでご相談し、それぞれの方が経験と専門性をふまえ、強みと持ち味を活かすワークを1つずつ担当することになりました。

◆おひさしぶりさんも、はじめましてさんも!
12月9日(日)午後、会場はいつもの奈義町文化センター。目の前は町立の保育園、おとなりは町役場。子どもたちが通う奈義小・奈義中もすぐそば。県外や海外からも観光客の訪れる奈義町現代美術館は徒歩1分の距離です。
文化センターは、町の暮らしを支え、教育と文化を醸成する中心部にあり、子どもから高齢の方までが利用する拠点です。

参加者は総勢30人。3年生を中心とする中学生17人に、海外生活や英語学習経験をもつ小学生2人、高校生・大学生各1人に社会人8名が加わりました。3回目となると再会の顔ぶれも。育ち盛りの子どもたちに、思わず「大きくなったね~」とらくでんメンバー。

◆3つの英語ゲームにチャレンジ!
フォニックスや動作表現を使ったウォーミングアップを終えたら、早速、国際交流ネットワークのみなさんが進行する英語ゲームの始まりです!

参加者は3チームに分かれ、3種類のゲームを回っていきます。ですから進行役は、相手にするメンバーを変えて自分の担当ゲームを進行する機会が3回あるわけです
では、ちょっと覗いてみましょうか。

こちらのゲームは?― 「人称代名詞」をつかった言い換えゲームですね。
なじみのある人称代名詞も、やりとりの中でとっさに発話するのは、紙の上の問題に書いて答えるのと、だいぶ感覚がちがうようですね。最初はゆっくりだったり、まちがえたり。いいんです、うまくいかないときこそ新しい発見ができますから。

そうそう、進行役だってまちがえます。いいですね、一気にチームが盛り上がっていますよ!「なんだ、進行のひともまちがえてる」「まちがえたらおもしろい」「自分もなんか言ってみよ!」そんな空気ができてきます。

進行役はみんなの反応をみてだんだんむずかしくしたり、ユーモアある変化球を投げたり。子どもたちをよく知る進行役ならではで、ここにはいないけれどみんながよく知る「あの人」や「この子」も登場です。おかげで3人称の概念がぐっと身近に!みんな、楽しそう、進行役も楽しそう!

さてこちらは何かな?― 記憶ゲームです!
進行役がある英単語を提示すると、メンバーは続いて好きな単語や表現を考え、最初の英単語にどんどんつなげていきます。自分の番になると、まず「前の人たちが挙げた単語」を記憶から取り出し、さらに自分がもつ語彙を検索してひとつ足します。
 
順番があとになればなるほど、記憶する単語が増え、なかなかむずかしそうですね。つぎつぎ失敗💦でもだいじょうぶです!進行役があったかい笑顔で、ぱっと新たな単語で再開してくれますよ。

何回も続けるうちに、みんなの“考え込んでいる時間”がだんだんと短くなってきました。「とりあえずやってみよ!」が少しずつあたりまえに。いい笑顔がいっぱいです!

もう一つのゲームはなにかな?― 「色」をつかった連想ゲームでした。
進行役がカードをめくると「緑/green」が!
緑色のモノって?記憶をたぐったり、窓の外を見渡したり、みんな、探しものです
Green pepper!(ピーマン)
Cucumber/きゅうり」
Cabbage/キャベツ」
だれかが一つ思いつくと、同じカテゴリーでどんどん思い浮かんだりします。 

進行役は様子を見ながらジェスチャーと英語表現でヒントを!発話したメンバーにはすかさず、表情豊かにGreat!” “Good job!”
子どももおとなも、フィードバックをもらうとうれしいですね。
1ラウンド終わるとくたくたなほど、全身でがんばった進行役。第2ラウンドのために、ご自身で助っ人を用意しておられました。おなかまとのすばらしい連携プレーで、3ラウンド終了!

Finish!」 - ファシリテータから声がかかって終了。なんだかあっという間でしたね。

ところで進行役がゲームを共にした顔ぶれは、知り合いやなじみのある学齢期の子もいれば、個人として面識がないのはもちろん、交流の機会がない学齢の子ばかりのことも。相手がもつ文法・語彙の知識や、興味・関心も想像しながら、ちょっとドキドキすることも!3ラウンドを通じ、みなさん、あの手この手で子どもたちと向きあってくださいました。

◆一往復をこえたやりとりへ
ワークショップ後半は、ちょっとした「観察」からスタート!
らくでんメンバーによる“なりきり”で初対面のふたりのやりとり2パターンを披露しました。

「どうだった?」
1回目は初級、2回目は上級って感じ」
1回目は。ひとりが一方的にしゃべってた」
「どんどん話題が変わってよそよそしかった」
2回目は話が続いてだんだん親しくなった」
「相手からきいた“おまつり”の話で返したら会話がふくらんでいた」

質問を投げてばかりの尋問のようなパターンAに対し、パターンBは会話のキャッチボールでだんだん笑顔も出てきましたね。
いろいろな気づきをもとに“事情聴取(笑)”を超え、“楽しい会話”になるコツを、会話のキャッチボールの仕組みから考えてみました。

◆発見したことはすぐつかってみよう!
いろいろな種類の質問フレーズや、会話をつなぐ“おたすけフレーズ”を実際につかって、一往復を超えてやりとりをつなげることに、小グループで挑戦しました。

「英語を考えるのがむずかしい。でも達成感があった。」
「ちがう学年の人とやっておもしろかった。」
「知らなかった会話を続けるコツを学べてよかった!」

初めて使った英語表現も、実は日本語での身近な会話ではよく使っていることも実感したようです。

◆ワークショップを振り返って   
終了時アンケートでは全員が
 “また参加したい!”
「会話をつなげられる英語が勉強になった」
「もっとできるようになりたい!」
「ミニゲームがすごく楽しかった」
「ほかにもゲームで学んでみたい」
「今度は外国の人との会話をやってみたい」
「いろんな年の人とできて楽しかった」

進行役のみなさんとの振り返りの場では?

「思い切ってやってみて本当によかった。」
「とーっても緊張したけれど
 やりがいがあってとても楽しかった。」
「役割を担ったら前回よりもっと参画できた。
 次回もぜひやりたい!」

といった感想に加え、次回はこんなこと・あんな工夫をしたい!とアイディアもどんどん飛び出しました。

どなたもが英語とコミュニケーションをより身近で楽しいものと感じてくださったことに、らくでんスタッフもうれしい思いでした♪ 

◆次回は3月24日(日)開催!
今回を振り返った奈義町国際交流ネットワークのみなさんのご判断で次回も、中学生のための“英語をつかう!”をさらにすすめるプログラムに決定。
より多くの社会人の方にも、英語サポーターになっていただきましょう!

Have fun! 英語って楽しんじゃけん(^^)
奈義町のみなさん、3月にまたお会いしましょう!

次回ワークショップの模様は、本ブログでも春におつたえします。どうぞお楽しみに♪


*楽伝はコミュニケーション力とキャリアの開発を両輪ととらえ、多様性に満ち、変化の激しい現代社会において力を発揮する人材を育てることを通じて社会に貢献します。
 

2019年1月7日

年始のごあいさつ

急勾配を行く登山電車
出典:Vesuvioinrete.it
新年あけましておめでとうございます。
  
皆様はどんな新年を迎えられましたか?
今年は元旦から何か新しいことを、ということで、ザ・シンフォニーホールで開催されたニューイヤーコンサートに行ってまいりました。

オペラ・ミュージカル・バレエなどの演目からピックアップされたイタリア・ドイツ・フランスの楽曲は、新年を迎えた独特の高揚感にぴったり。
歌の進行と同時に、バックに歌詞が映し出され、メロディはお馴染みでも「この名曲はこういう意味だったのか」という新鮮な驚きを感じることができました。

その中から、一曲の誕生物語を。

日本では“おに~のパンツはいいパンツ! つよいぞ~つよいぞ~♪”の歌いだしで知られる「鬼のパンツ」の歌は、イタリア歌曲の「フニクリ・フニクラ」が原曲です。

なんとこの曲は、イタリアのヴェスヴィオ火山の頂まで観光客を運ぶ登山電車「フニコラーレ/Funicolare」のテーマソング♪
1880年に敷設されたこの電車はなかなかの急勾配を登るもの(冒頭の写真)。当時の人たちの中には恐怖を感じる人も少なくなかったのでしょう。当初は全く人気がなく、困った運営会社はルイジ・デンツァに作曲を依頼しました。そして出来上がったのが「フニクリ・フニクラ」だったそうです。
 
世界最古のコマーシャルソングともいわれる「フニクリ・フニクラ」。ちなみに、この日紹介された歌詞は「鬼のパンツ」に通じる勇ましい内容で、なんだか元気が出てきます。

  ♪ 昨日の晩、すごい物に乗ったんだ
  ♪ こんな気持ち初めてだよ
  ♪ 火の吹く山へひとっ飛び
  ♪ 怖くて逃げても大丈夫
  ♪ 疲れ知らずで景色を楽しもう!
  ♪ さあ行こう!行こう!
  ♪ フニクリ・フニクラ
 
ご存じ「鬼のパンツ」のメロディにこの歌詞がのるわけです。
なんだか急勾配を行く「フニコラーレ」に乗ってみたくなりませんか。人の態度と行動を変えるマーケティングの勝利?といえましょうか。たいしたコマーシャルソングですよね。“恐怖を感じる急勾配”“楽しいもの”に変えてしまうのですから。

ふと考えてみれば、「怖い」と思う心は、誰かからもたらされるのではなく、自分の中から湧いてくるもの。急勾配を行く「フニコラーレ」そのものは、この歌があってもなくても何も変わらない。
変わったのは、自分の「心」。 

敵に出くわしたら、そいつは僕らだった
      - フォルト・ケリーの漫画『ポゴ』より

平成最後となった正月。
清々しい気持ちの一方で、ノンストップの変化に見舞われることを想像すると何とも言えない不安が沸き起こってくるのも事実。不安を恐怖ではなく、まだ見ぬ景色を疲れ知らずに楽しむような期待感に変えるには、「心」へのちょっとした働きかけがいりますね。「敵を僕ら」にしないためにも。

元旦のコンサート2時間余り、すっかり楽しみましたが、さらにおみやげとして「鬼のパンツ」、いえいえ「フニクリ・フニクラ」 !
今年の自分応援ソングにしてしまおうと思っています。
 
本年もどうぞよろしくお願いいたします。


理事長 西道 広美 拝
  

2018年12月21日

変化の時代、なぜいま英語インプロか

“繋がるためのスキル”をコミュニティで育む

師走の半ば、今年も訪ねた“ATD*ジャパンサミット”のテーマは“Creating a Future-Ready Learning Culture(未来に備える学習文化の醸成)”。変化し続ける時代をふまえ、組織の戦略的目標の実現に向けた“学びの変化”の重要性とそのグローバルでの先端ナレッジを共有する場となりました。

個人の学びを、多様な個人それぞれに応じる方法で促進するHRテクノロジーや、他者との関わりや体験の中に学びを得ることも含め、多様な学び方を統合する学習の捉え方への知見も共有されました。
*ATD(The Association for Talent Development): 120か国以上に会員を持つ、人材開発の領域で世界最大級の組織。日本では4年前から人財開発・組織開発の分野でのグローバル先端ナレッジと事例を共有するコンファレンス「ATDジャパンサミット」を開催。内外の人材開発プロフェッショナルを講師に、変化し続ける時代を前提に、新たなHRテクノロジーや組織の事例が共有される場。

◆HOWの育成に必要な非認知的スキル
1年の終わりに“ATDジャパンサミット”に身を置くことは、自分たちの現在地を感じる機会であり、次の一年のフォーカスを確認するひとときとなっています。ATD プレジデント兼CEOTony Bingham氏は、時代の変化が人々のキャリア開発と組織開発に与える影響を例示して参加者と共有した上で、変化を予測する必要性を認めつつも、「WHAT(完全予測は不能な“これからどのような変化が起きるか”)」より「HOW(変化に直面したときにどのように対応・適応するか)」がキーであることを丁寧に語られました。適応し生き抜いていくためのHOWの創意工夫・スキル開発マネジメントが組織単位・個人単位でますます重要になっていることを、Bingham氏のメッセージにもあらためて確認しました。
 
スキルといってもその幅は広く、変化に対応・適応する際に必要なスキルは、認知的なスキルと社会情動的なもの ―これはいわゆる「非認知的スキル」として最近脚光を浴びているものですが― に概念的に分けられますが、重要なことは両者の相互補完的な関係性です。
ところで、この両スキルの相互補完性がうまくブレンドされている形について思いをはせると、つい先日、岡山県の奈義町で開かれた『らくでん式英語インプロ』のワークショップの模様が思い起こされました。

◆人と繋がることで変化に対応する
個人が変化に適応すべく自らのスキル領域を広げることが必要な一方、個々人が努力するばかりでは変化に対応しきれません。

変化激しい時代を生き抜く力とは、変化のただ中で自分と同じ場に居合わせた「背景の異なる多様な他者と即興的につながり、協働できる力」。― このような非認知的スキルを養う機会を、だれもが楽しく身近なものにできることを願い、楽伝は“遊んで身につく、即興英語ワークショップ”である『らくでん式英語インプロ』を開発・展開してきました。

◆長い時代を経てきた演劇の資産を活かして英語を学ぶことの意味
インプロ(improvisation/インプロビゼーション)とは、そもそも演劇に由来する、台本の無いパフォーマンス(即興演技)。既成概念にとらわれず、予測し得ないその場の状況・相手にすばやく応じ、今の瞬間をいきいきと生きながら、複数のメンバーと共通のストーリーをつくっていくこと、またその力をさします。つまり、インプロとは非認知的スキルそのもの、およびそのトレーニングであるといえます。

演劇界においてエチュードとして長い歴史をもち、さまざまなフィールドで磨かれてきた「インプロビゼーション(即興演技)」の手法に力を借りることで非認知的スキルを育み、一方で“英語”という「外国語(自分のものとは異なる文化・価値観・習慣を内包した言語)」を認知的なスキルとしての自らのツールにする。
―  らくでん式英語インプロのプログラムは、こうした《英語xインプロ》のフレームワークの中で進みますが、それゆえ認知的スキルと非認知的スキルを相互補完的に育成する場となります。

『背景の異なる他者とコミュニケーションする(=即興的に伝え合う)』場面を仮設定し、やってみることのできる体験として提供することで、参加者は、日常の不安感(羞恥心や評価への恐れ)と自分を“切り離し”、失敗を恐れず安全にチャレンジすることが可能になります。これは認知的スキルと非認知的スキルが相互補完的に作用しあった結果であるといえましょう。

◆コミュニティが内外と繋がる幅広いスキルを育む
完全予測は不能な時代だからこそ“不確かな、複雑で曖昧な、混沌とした状況に対する適応力”を育めるか否かは、その組織の持続可能性に直結してくる ― それは冒頭にふれた“ATD*ジャパンサミット”に多く来場されていた「企業」という組織ではもちろんですが、地域という社会組織である「コミュニティ」においても同様です。

これまでの時代を支えてきて今を担う住民層と、この先の時代を支える子どもや若者、新たな住民や滞在者たちが、自らの意思を多様な人々に伝えるために不可欠な即興性を伴う表現力”をともに体験を通じて育むことは、コミュニティがその魅力を内外に発信し、都市もとびこえ外部とつながり、選ばれ、生き残る存在となる力になることでしょう。

昨年度から関わらせていただいているコミュニティ・奈義町(岡山県勝田郡)では、まさにそうした時代の変化を見通した“学びを育む”試みに『英語インプロ』を道具として活用いただいています。 
地域に“伝え合う力”が根を伸ばす仕掛けとなるべく、ワークショップの位置づけを吟味しながら、コミュニティの子供たちが“背景の異なる他者とコミュニケーションする力”を持続可能な形で育めるよう、地域人材の育成も含め、取り組みが進んでいます。

つい先日開催された3回目のワークショップではいよいよコミュニティの方々が、参加者としてのみならず、ワークショップの進行役として参画されました。その模様は、1月中旬にお届け予定です。どうぞお楽しみに!

◎お知らせ◎
20181228日(木)より201916日(日)まで、年末年始のお休みをいただきます。

 
楽伝はコミュニケーション力とキャリアの開発を両輪ととらえ、多様性と変化あふれる社会において力を発揮する人材を育てることを通じて社会に貢献します。



2018年11月30日

開催報告「英語を知らなくても大丈夫!英語ゲームで世代を超えて楽しく交流ワークショップ」

【平成30年度子ども夢基金助成活動】徳島県/板野町 徳島県立総合教育センターにて

写真はワークショップのひとこま「なりきり動画」ゲームより♪
お題は「徳島のおまつり」です。
なるほど!あのポーズですね。
 
ここは四国・徳島県の北東部、人口5600世帯のみなさんが暮らす板野町。

日本一の生産量を誇る春にんじんの種まきがちょうど進んだころで、町内のあちこちでビニールシートがぴーんと美しく張られたばかりの畑を目にしました。そして果樹畑では、実りの時期を迎えた名産の柿の実がたわわ!

私たちが到着したのは、ワークショップ前日の夕暮れ時。地元のみなさんにはいつもの光景でしょうが、しずむ夕陽にどちらの畑も映え、ほんとうに美しい姿でした。

さて、翌1111日(日)も秋晴れのきもちいいお天気になりました!
 
13時を過ぎると、町の小高い丘の上にある徳島県立総合教育センターの一室に、小学2年生から6年生のこどもたち、そしておかあさんやおとうさん、この地域で子どもたちの英語教育に関わる先生方など、参加するみなさんが集まってくださいました。

まずは、ウォーミングアップにいくつかのミニワークを!
 
Stop! - ファシリテータからバトンを受けた小学6年生の女の子が声をかけると、たくさんの顔が一瞬フリーズしかけた?!と思ったらみんな、わらわらぞろぞろと“歩き”はじめます。

つぎに Walk!と声がかかると? - はい、みんな“止まり”ました。

じゃぁ、つぎは Jump!” あ、みんなくるくる回り出した~。

 Turn!  ~ 跳ねてる、跳ねてる!

そう!あべこべアクションです。
さらには、身近なあいさつ表現をつかった「あいさつさんぽ」でカラダを動かすところから、この日のワークショップは始まりました。

◆きもちをプラス!
続いては、チームにわかれてのジェスチャーゲーム♪
今回はいろいろな動物をジェスチャーで表現します。ポイントは“きもちをプラス!”

最初のお題は「ペンギン」 ― そしてこのペンギン、「とってもねむ~い」んです(笑)
ファシリテータの掛け声で、かわいいペンギンたちがいっぱい、ちょこちょこ、よちよち!
歩きながら「眠いのって、どうやって表現しよう」と考えるペンギンさんたち。
少しすると、つばさで目をこすり始める子ペンギン、立ったままうつらうつらこっくりしはじめるペンギン。歩きながらこっくりしている子も!
思い思いに「眠いよ~」のきもちを表現してくれました。

チームを交替して今度のお題は?
おっ、なにやら胸をはり、腕をふってドラミングしてますよ~。

「さる?」「Monkey?
Close!」「So Cloes!

さらにからだをつかって
筋肉隆々“野性味”を演じるみなさん!

Gorilla?」「ゴリラ!!」
Bingo!」「Got it!!

でも、どんなゴリラだろう?!
おーっとここで、名演が続々と・・・
ほおをふくらませ、眉を寄せ、ドラミングがはげしくなります!!

「怒ってるゴリラや~」
Bingo!

普段以上に顔や体の筋肉をつかって気持ちを表したり、相手の顔に意識を向けると気持ちが伝わってくることを実感したり。ほんの数分の体験ですが、さらに“発話”への準備が進みます。

◆おどらにゃそんそん♪
お次は『なりきり動画ゲーム』。
その場で思いついたもの・人になりきって表現する「正解がない(○×の評価がない)」ワークです。この日のお題は「学校」「お正月など。

観客のみんなは、Who are you?  Whats re you doing? のフレーズでなりきってくれた役を俳優さんたちにたずねます。

「学校」チームからは、日直さんに、授業中の生徒さん、自称天才少年、おとなおふたりで完成した校門などが登場!

「お正月」チーム少年チームによるもちつき新年のお願いごと中の6年生お寺で鈴をならすパパさん!そして、ファシリテータが「田植え作業」と見間違えたのは―スミマセン!(笑)― この日、随所で名演技の光ったアクターによるIm playing Karuta!(かるた遊び)でした!

さいごは全員ご当地の「お祭り」を紹介してもらいました。
射的で賞品ゲットの男の子!獅子舞!太鼓!そして、こどももおとなもおどらにゃそんそんの阿波踊り!とりわけ、阿波踊りのみなさんの足と手の所作のしなやかさ、躍動感、うつくしさはさすが!冒頭の写真のとおりです。
すっかり見入ったらくでんスタッフたちは思わずアンコールをお願いしたのでした。

◆お気に入りを発信する!
ところで四国というと、お遍路さんの四国霊場八十八箇所巡りも有名ですね。
板野郡には4つの札所~板野町に第三番「金泉寺」、第四番「大日寺」、第五番「地蔵寺」が、おとなりの上板町に第六番「地蔵寺」~があります。
最近は海外からのお客様も増えているとのこと。らくでんスタッフも滞在中、外国から旅行に来られている方々にお会いしました。

そこで、ワークショップ後半は「もし海外からのおきゃくさまと出会ったら!」という想定で、住み暮らすなかで、自分が思い入れをもつようになった“お気に入り”を選んで、紹介するワークにチャレンジ!

英語にふれはじめたばかりの子どもたちが多く、また、こどももおとなも、ひとりひとり英語への興味・親しみ・習熟度が異なります。そんな場だからこそ、「だれか」が「ひとつの正解」を教えるのではなく、おたがいの興味やわかることをもちよりながら、カタチをつくっていきます。
こどももおとなも、ファシリテータたちも、みんなで力をあわせて準備!― 親子で、よそのおとなの力を借りて、おとな同士で、子供同士が・・・なんでもありです。

こうして参加者のみなさんと個別にお話しながら過ごすひとときは、らくでんのファシリテータたちにとってもとりわけ楽しく、学びの多い時間でした。

練習タイムを経たのち、最後は地域で子どもたちの英語教育に関わる先生方に外国人ゲストになりきっていただき(名演ありがとうございました!)、各チームの発表タイム。ひとりひとり、それぞれのペースでやりとげたこどもたちでした。

まとめに、この日のリフレクション(振り返り)をし、子供たちだけでなく、おとなのみなさまからもいろいろなお声をいただき、ワークショップは終了しました。

It is fun! また参加したい。
いろんな英語が知って楽しかった。
・楽しかった!ゲ-ムを今日来てない友だちにおしえて、みんなとやりたい!
・最初はきんちょうしたけど、楽しくできた。
・またあったら来たいです
・今日は楽しかったです。いろんな英語をまなんだから、これからいかしていきたいです。
・英語を好きになれるように、楽しく教えてくださり大変ありがたかったです。子どもたちが英語に親しめる時間をありがとうございました。
・子供といろいろ一緒に勉強させてもらいました。楽しかったです!機会があればまた参加したいです。

◆まぜまぜの力
こどももおとなも、年齢・性別・国籍・心やからだの状態や発達段階が同じかちがうかを問わず、感じ方や好奇心の対象は人それぞれ。

アイディアを想いつくのが得意な人もいれば、なにか想像して考えること自体が苦手という人も。人前で表現するのが大好きで一番のりする人もいれば、気が重い人も。気持ちはあっても動きづらい日もあるだろうし、とりわけ学童期の子供たちは“いまはいろいろと気恥ずかしい”時期なことも。

らくでんの「場」は、そんないろいろな人がそれぞれのあり方でチャレンジしたり、うっかり楽しめちゃう場になることを大切にしています。水先案内人となるらくでんのファシリテータたちは、けして先生ではありません。その場にいる参加者みなさんのお力をかりて “遊んで身につく、即興英語ワークショップ”をいっしょに実現しています。
ご一緒してくださった徳島のみなさん、ありがとうございました!

なお、今回のイベント実現には、(独)国立青少年教育振興機構「子ども夢基金」の助成をはじめ、地域の小学生の保護者のみなさま、地元の小学校関係者のみなさま、こどもたちの英語教育に携わる先生方にご協力をいただきました。ありがとうございました。

*子どもゆめ基金(独立政法人国立青少年教育振興機構)
国と民間が協力して子どもの体験・読書活動などを応援し、子どもの健全育成の手助けをする基金。
未来を担う夢を持った子どもの健全な育成の一層の推進を図ることを目的に、民間団体が実施する特色ある新たな取組や、体験活動等の裾野を広げるような活動を中心に、様々な体験活動や読書活動等への支援が行われています。当法人は2017年度の大阪府阿倍野区でのワークショップ開催に引き続き、子ども夢基金助成活動として企画を実施いたしました。


◆各地でのワークショップの模様
>岡山県奈義町・奈義町教育委員会主催:出生率日本トップクラスのまちでのワークショップ
>子ども夢基金助成事業:英語ゲームで世代・国を超えて楽しく交流ワークショップ2017
>大阪府泉南郡:中学生とインドネシアからのみなさんと!
>福島県白河市:えいご、たのしかった!(前・後編)
>大阪府大阪市:生き抜くための“コミュニケーション能力の素地を養う”
>大阪府貝塚市:なりきり英語ゲームでハロウィン
>大阪市天王寺区:まちがったら、おもしろくなる!(前・後編)
 
◆当法人について
>特定非営利活動法人
 楽しく伝える・キャリアをつくるネットワーク(愛称:楽伝/らくでん)
>楽伝/らくでんのさまざまな活動のご紹介:これまでの歩み

 ◆らくでんの最新ニュースは下記よりご覧いただけます。
【活動全般】
Homepage: らくでんのBlog
Facebook Rakuden/らくでん
Instagramrakuden_labo
 
【らくでん式英語インプロ】
Facebook: らくでん発信力向上ラボ
Instagram: rakudenenglish

【伝版®
Instagram: denpan_diary
 
*楽伝はコミュニケーション力とキャリアの開発を両輪ととらえ、多様性と変化あふれる社会において力を発揮する人材を育てることを通じて社会に貢献します。

2018年11月7日

発表報告Ⅱ.日本心理学会第82回大会

開発的ネットワーク」からみるキャリア観の現状

“あの人は人脈が広い。”というように、生活の中で時折出てくることば -「人脈」
9月末に日本心理学会で発表した研究テーマは、平たく言うと、この「人脈」について、“現代を生きる力となる”という角度で捉えた内容でした。

自分の現状を概ね肯定できる人ならば、誰しも今日と同じ明日を無意識に期待してしまうものです。「恒常」を求める生物としてはある意味自然な姿ですが、時代は移り、我々は変化を前提として生きる存在となりました。

前号で触れたとおり今では、キャリア・プランニングとは職務とのマッチングに留まらず、個人が適応能力を高めながらキャリアの自己開発と自己管理を行うことに資するアプローチとサポートへと意味を進化させています。その現代に、キャリアが持つ特徴に即したサポートとして有効である概念として以下の3つが考えられています。

1.  レジリエンス/Resilience
キャリア変更に伴って生じるストレスの緩衝と関連しうる。
2.  キャリア・アダプタビリティ/Career Adaptability
キャリア変更をキャリア発達の一現象として捉える、予想される職業発達課題に対する個人のレディネスおよび対処能力を示す。
3.  開発的ネットワーク/Developmental Networks
組織の枠組みを超え、さらに職務関連か否かにこだわらない複数の人的なつながりに注目し、キャリア成功のための個人の開発的ネットワーク

現在我々が手掛けている研究では、この3概念の関係について、個人がキャリア変化に対応するためには「キャリア・アダプタビリティ」を高める必要があり、それに関連、および、それをサポートするのが「レジリエンス」と「開発的ネットワーク」であろうと考えています。その考察の第一弾として、3概念のひとつ「開発的ネットワーク」の構造について検討することを目的に分析し、今回の学会にて報告を行いました。

◆調査の概要
<図1>
調査はWebで行い、職業キャリア・生活キャリア間の移動および、各キャリア間における移動など、様々なキャリアチェンジ経験者を含む、2069歳の男女2,000名を対象としました。
質問項目は下の<図1>に示す関連で構成されています。
膨大なデータからはいろいろな調査結果がみてとれますが今回は、対象の中で<正社員から正社員への転職経験>があると答えた711名の「開発的ネットワーク」についての結果に注目しました。なお「開発的ネットワーク」に関わるものとしての主な分析項目は「メンタリング尺度, PelligriniScandura2005)」と「キャリアレジリエンス尺度,坂柳ら(2015)」を参考に作成した13の項目を想定しました<下:表1>。
  
◆結果
<表1>
まず「開発的ネットワーク」と想定されるつながりはどのように認識されているのかを知るために、その構造を検討しました。開発的ネットワークに関するこれまでの研究<Murphy and Kram2010)>を概観し、概念の整理を行った時点では6つの因子を想定していましたが、抽出されたのは2因子のみでした<右:表1>。第一因子には、MFQ-9CR-ASの支援・援助に関する項目がほぼすべて含まれ、かつ、心理社会的支援として設定した項目の因子負荷量が高く、因子負荷量が相対的に低いもののキャリア支援項目が含まれています。いわば「相談や手助けをしてくれる存在」です。また、第二因子は「手本や参考になる存在」。「ロールモデル」に関連する分析項目が占めました。

さて、様々なキャリアチェンジ経験者のうち、<正社員から正社員への転職経験>のある対象者は、ネットワークの分析項目として想定した13項目について、そのキャリアチェンジに際し、何らかの相談行動をする可能性が高いことが示されました。公私ともに開発的ネットワークを保持しやすい環境にあると想定されましたが、それ以外の対象者と比べて統計的な有意差は見られませんでした。この件については、今後さらに詳しく分析する予定です。

ただし<正社員から正社員の転職経験>のある対象者711名について属性別に13項目の平均値を検討した結果、次のような知見が得られました。性別については、男性よりも女性の方が総じて高く、開発的ネットワークの持ちように、男女差が存在することが明らかとなりました。

<表2>
また、年代別にみると、総じて20代の若年層の方が値は高く、年齢が上になるほどネットワーク不在傾向になり、現在40代~50代において開発的ネットワークの不在を感じている層が多い傾向がみられました。
加えて、対象者数は少ないながら<日系から外資系に>および<起業した転職経験者>は、開発的ネットワークを高いレベルで保持している可能性があることも示唆されました<右:表2>

◆開発的ネットワークのありようからみるキャリア観の現状
本研究では、欧米のメンター研究で用いられるMFQ-9を土台に(図1)、日本における開発的ネットワークについて探索的研究を行いましたが、開発的ネットワークを保持しやすい環境にある<正社員から正社員への転職経験者>を対象に、自身のキャリアの転機をテーマとした場合でも、「キャリア支援(キャリアを積極的に切り拓こうとしている際に必要な相談や手助け)」と、「心理社会的支援(一時的な安心感を得る際の支援)への期待が、明確に分離しない結果となりました。

この結果を少し俯瞰すると、自らのキャリアの転機に際し、“主体的にキャリアを切り拓く”という態度や行動が確立しているというよりは、“キャリア転換をせざるを得ない”というストレスがまだ先行しており、「キャリア支援」と「心理社会的支援」を総合的に期待し「寄り添う対象」を求めているとの推測も可能です。

また、自らの転機に必ずしも直結しない場面、いわば“日常”において手本や参考にできる「ロールモデル」の役割も期待されているようです。なお、少数ベースながら、変化する環境が前提となる女性、若年層、日系から外資系への転職経験者、起業家などは「開発的ネットワーク」の重要性を主観的に感じ、構築を模索している可能性があると推察されました。今後、この層に焦点を置いた探索も試みる予定です。

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皆さんは、「オールド・ボーイズ・ネットワーク」なるものをご存知でしょうか。社内外の公式、非公式の組織や人脈のことを指します。例えばそれは社内派閥や飲み仲間、経営者団体、業界の勉強会など形態や目的はいろいろですが、要するに情報交換をしたり、相談したり、自分と取り立ててくれる可能性のある人とつながっておくためのネットワークのことです。

この言葉の中に「ボーイズ」という語があるように、これは元来、男性を中心としたネットワークであり、女性がこの中に含まれないことから、「オールド・ボーイズ・ネットワーク」の存在が、女性が出世しにくい理由であるといわれてきました。その影響は社会の中で未だ否定できないものがあると思われますが、今回の調査では大きな発見がありました。

<正社員から正社員への転職経験>のある女性たちが「開発ネットワーク」と想定されるものに対し、相対的に積極的であるということです。一方、<正社員から正社員への転職経験>がある人の中ですら、年代で比較すると40代、50代は開発的ネットワークの存在が薄くなる傾向がみられました。もちろん、<正社員から正社員への転職経験>のある人以外についても分析する必要があるのは言うまでもありませんが、40代、50代の年代に対しては、総じて人生100年時代をにらんだキャリア構築サポートの必要性を示唆する結果が見出されるかもしれません。全体分析が終了しましたら、その結果もこのブログでご報告したいと思います。

現在、私は50代半ばですが、幸運なことに「ボーイズ」だけでなく、さまざまな属性のメンバーのネットワークの中にいるおかげで、主宰する会社やNPO、メンバーとして参画している一般社団法人の活動の中で、多くのチャレンジに恵まれながら、ストレスも適当にやりくりできています。
私の人生が100年になるのかどうかはわかりませんが、そんなネットワークを、もしかして知らず知らずのうちに構築してきた?自分をも紐解きつつ、研究という手段を通して社会に発信できる存在でありたいと思っています。

      理事長 西道広美 拝

 
*楽伝はコミュニケーション力とキャリアの開発を両輪ととらえ、多様性と変化あふれる社会において力を発揮する人材を育てることを通じて社会に貢献します。

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