新年あけましておめでとうございます。
皆さまはいかがお過ごしでしたでしょうか。
昨年、ふとしたきっかけで北アメリカ先住民に関する本を読む機会があり、その中にこんな一説がありました。
すべてのものが円を描いています。
私たちは自分自身の行いに、それぞれ責任をもっています。
それが円を描いて戻ってくるからです。
ベティ・レイヴァデュー(オジブワ族) 1993年
「円を描いて戻ってくる」
まさに十干十二支に通じる考えです。
戻ってくるまでの時間は文字通り、十干は10年、十二支は12年。
そして両者がそろい踏みになる「還暦」は、最小公倍数の60年。
十干の円と十二支の円がそれぞれの円を描きつつ、60年後に両者そろって大きな円を描く。
10年前、12年前というと、これをお読みの皆さんなら個人史で振り返ることができる時間でしょう。10年前、12年前の出来事がどのような円を描いて自分に戻ってきたか?ちょっと時間はかかるかもしれませんがじっくり考えてみると、それは素晴らしい振り返りになります。
2020年の干支は「庚子」ですが、そのひとまわり前の「庚子」の年である1960年はどんな年でしたでしょうか?ぎりぎり私も生まれていません(笑)。
世界ではアフリカ大陸で多くの国々が宗主国から独立を果たした故に「アフリカの年」と称され、日本では新安保条約をめぐる「60年安保」で激しく国が動きました。
それから60年後の現在。
アフリカ大陸は世界のラストフロンティアと呼ばれ、新たな覇権争いが起こっており、地球温暖化と絡んで問題は複雑化しています。
そして日本では今年、将来を左右する自国の在り方について大きな判断が問われることになるかもしれません。
このブログではこれまで「変化に適応する」、「自ら変化を起こす」というスタンスで語ることが多かったのですが、今年はあえて「変化」ということを声高に言わないことにします。
「変化に目を奪われすぎると変化に対応できない。」
流れに投げ込まれたとき、円を描きながら戻ってくるその激しい流れに目を奪われたままでいると、泡で視界がふさがれ、呼吸のタイミングをとらえることができず、結果的に生きるためのアクションが限られてしまいます。
こんな時、我々は表面の大きな波や、次々に生じる渦に気持ちが惑わされないように、あえて「変化を見すぎずに」、最初から深めに潜伏して「波や渦の影響が少ないゾーン」で進むことを提案します。
言い換えれば、変化にまつわるリスクをリスクと認めながら、むやみに怖がらず、「ラクに」取り扱えることができるよう工夫する。そしてその「工夫自体を楽しむ」。
ランダムに見える波や渦が、大きな美しい円の軌道の一部であると信じて、それらを見極めることのできる場所を見つけて身を置き、あれやこれやと試しながら活路を見出すのです。
提案する我々自身も、このアプローチで地道に活動を続け、そこで得られたこと・学んだこと・次へのチャレンジのあれこれを、この場で皆さまに発信していきます。
こどもたちと彼らを支えるおとなたち
そしておとなたち自身のチャレンジを
「コミュニケーション」という切り口で応援するために。
さっそく次号では、ある社会起業家の女性が率いるチームのみなさんとのチームコミュニケーションをテーマにした現場からのご報告を予定しています。
また、日本心理学会第83回大会で発表した「開発的ネットワークに関する探索的研究」についても、さらに皆さまにお役立ていただけるであろう進展がありました。こちらもぜひ、続いてお伝えしてまいります。どうぞお楽しみください。
聖徳太子建立の四天王寺とハルカスが同居する地域。
亀池の上に連なるおみくじが白い垣根のよう
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そして一年後、皆さまとともに振り返ってみれば、円の軌道の一部が見えていて、進むべき方向の手がかりをつかめていることを願いつつ。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
理事長 西道 広美 拝