タブノキの冬芽 |
楽伝の本拠地、黄色い家界隈は暖かいお正月にて、日中は13度にも達したでしょうか。ぽかぽかとした日差しの中、初「春」を満喫させていただきました。
昨年、楽伝は地域振興部とは別に社会教育部を発足させ、未来を担うこどもたち向けの発信力育成プログラムとして、英語インプロビゼーション(即興演劇)を開始しました。
"ブッカ・ワールドで楽しく生き残るには?"という壮大な課題意識のもと、年末開催のらくでん式こどもいんぷろ英語ワークショップの2日間は、明るい笑い声で黄色い家が満たされ、楽しい年の瀬となりました。
明けて2017年、昨年末に本ブログでもご案内した株式会社伝耕のブログシリーズ『キャリアデザイン再考』に際し、NHKの「ブラタモリ新春アンコールSP」を横目に、西道はのんびりと最終回を執筆しておりました。
するとテレビから流れてきたのは「2013年に行われた伊勢神宮の式年遷宮は、20年に一度の大行事だが、それは1300年もの間、繰り返されてきた」という気の遠くなるような話。
それにしても なぜ、20年に一度、すっかり新しくして、ご神体を遷すのか?
理由のその1:20年に一度神殿を新しくすることでお参りの機運を高めていたという説。
➡ マーケティングで言うところのリニューアルキャンペーン理由のその1:20年に一度神殿を新しくすることでお参りの機運を高めていたという説。
理由のその2:伊勢神宮の建築は、神明造りと言われ、屋根は茅葺で、下部の構造体は木を
コーティングして長持ちさせる漆などが使われておらず、長期間の耐久性がない。
➡ 建て替えを前提とした存続モデル
理由のその3:構造としては正殿に使われている骨組みと同じ御稲御倉(みしみねのくら)を
観察対象とする。この倉は米の倉庫であるが、屋根を支えるのは、柱でなく「壁」
そのものであり、柱と屋根の間には見てわかるほどの隙間が空いている。こうして
屋根の重みが直接壁にかかることにより、壁の板の継ぎ目が圧縮され、湿気や害虫
を寄せ付けない。ところが、その壁も長きに亘り圧縮され続けると、屋根と柱との
隙間が埋まり、やがて「柱」が直接屋根を支えるようになる。そうなると、壁は
屋根の重みを受けず圧縮されなくなるから、隙間ができ、湿気や害虫が入ってしま
う。屋根が壁でなく「柱」に支えられるような状態になるのに約20年かかり、それ
が建て替え時である。
➡ 20年で設定された品質制御期間つまり、マーケティングと存続モデルと品質制御が三位一体となり、20年に一度とされてきたのではないかというお話でした。
人生を100年スパンで考えるという話題の書「100年時代の人生戦略」を紐解きつつ、『キャリアデザイン再考』の最終回を執筆していた私ですが、正直、なんか100年って長いなあ、と。この本の著者によると、長寿社会では、キャリアデザインのパタンも変わる。人生が70年程度で終わるならば、教育→仕事→引退の3ステップ。人生100年になると、合間に移行・探索期間をはさんで5ステップ程度。ざっくり言って「20年一度、キャリアを一新する」というわけで、その視点に、なるほどと新鮮味を感じておりました。
そこに飛び込んできた式年遷宮の話。これも、20年に一度の一新ながら、伊勢神宮は1300年も前から続けています。そのたび、社殿も橋も装束・調度品等まですべて新しく作りかえられてきました。技術継承が可能な20年の範囲で、すべてそっくり一新されるからこそ、古きものが新しいものにつながる「常若(とこわか)」の思想につながります。となれば、上述の書「100年時代の人生戦略」で説かれたステップは殊更に新しいことでもないといえましょう。
- 長すぎず、短すぎない20年。なるほど。
社殿などの建築物を作るのに必要な檜の丸太はなんと約1万本。宮大工さんたちがこれらの丸太で約8万個のパーツを準備されるらしいです。リニューアルが終わったと思ったらすぐに次のリニューアルへと、次の式年遷宮の用意はすでに粛々と行われているわけですね。
これって、キャリアデザインに一生取り組む、に同じ。
「新しくすることによって継続する。継続することによって新しくする。」この繰り返しで成り立つ「常若」の思想。20年ワンクールにて1300年続いてきたのですから、人の100年ぐらいなんとかなりそうですね。
年始から力をいただきました。
年始から力をいただきました。
今年の干支は「酉」。この字は酒樽をかたどったものにして、「酒」の元の字。収穫した作物から酒を抽出することができる成熟した状態を示すそうです。
成熟にはまだほど遠いですが、人生100年を考えて、ゆっくり、焦らず「常若」で参りましょう。
理事長 西道広美 拝