ケーススタディでグループ発表 |
「転職を重ねてハッピーにキャリアを構築している人?いるんだったらどんなふうにしたらそうなれるのか知りたい!」
-大学4年生の正直な声でした。
“キャリアをどのように築いていくか?”
―不変の問いのようで、加速する変化の時代にはまことにチャレンジングな新鮮味あるテーマ。
“長らく社会人をやっている”という人がここから先をハッピーに生き抜くには、いままで拠り所にしていた“経験というものの捉え方・使い方”に『転換』を要しますが、現時点で上手くいっているのは少数派?!
◆若い世代にとっては?
冒頭の大学生しかり。これから社会に出る世代は自分が生き抜くために、直面しうる未知の時代についてもっとわかりたいという潜在ニーズを持っています。身近なおとなを見ていくつかの定番コースをイメージでき、素直に聴くばかりではないけれどおとなから“彼・彼女の経験ベースの助言”をもらってプランできた「かつての時代」とは違うことを、若者は感覚的によくとらえています。
さて、いまから少し前。楽伝がひと足早く初秋の気配漂う東北でワークショップをご一緒したのもその世代。大学生よりさらに若い「高校生」のみなさんでした。
◆高校生びいきのカフェ
コミュニティ・カフェEMANON |
カフェを運営するのは「EMANON準備室」。
室長・青砥和希さんも福島県出身で現在大学院生として東京の大学に籍を置きながら活動しています。
2015年11月のオープン以来、高校生と、応援したい大学生やおとなたちが話しあい、リノベ作業や運用ルールづくりも自らてがけ、活動を重ねてきました。この1年半、白河市内外・国内外のいろいろなおとなを巻き込んで、地域の高校生がだれかや何かに出会い、好奇心を駆動させる機会を創出。地方の地域に生じ辛い“偶発性”を提供してきた場です。
◆大学を持たない地域
福島県の南に位置する白河市は人口6万人強。65歳以上の老年人口割合約26%(日本全体17%)、年少人口割合(~14歳)が約13%(同16%)。大学を持たない地域は、進学や就職をきっかけに若者人口を手放すことも少なくありません。
“高校卒業したら、どんな大学?どんな仕事?どんな暮らしをしたい?”
“いま居る場所?それともまだ、知らない場所で?”
地域性をよく知るEMANON室長・青砥さんによれば
「この先何をしたいか考えるきっかけとなる刺激が、たとえば東京に比べて、地域の中には存在しなかったり、在っても偶発的に出会う機会がないまま3年生になり、推薦入試先や志望大学の選択をする時期になる。」
学校から志望動機を書くようにいわれ、困ってEMANONに相談にくる高校生が少なくないといいます。
◆第1部:変化する環境を知り「視点をシフト」を体感する
この日は楽伝主催で、そんな高校生のキャリア構築をサポートするワークショップを開催。EMANONにつながり様々な体験をしてきた6人の高校生のみなさんとご一緒しました。白河旭高校、白河実業高校、白河高校と3つの高校に通う3年生です。
さて、若者がキャリアと向き合うにはまず、これからの社会環境の変化について時間軸をもってイメージすることが欠かせません。
たとえばいまから約80年後=2100年までの間に自分をとりまく環境がどのように変化していくのか?高校生にはまだ考えるに早いとされたり、そもそも大人が必ずしも向き合う気持ちが充分でないテーマでもありますが、若者は概ね身をおくことになる環境です。その変化を前提にしたとき初めて、キャリアデザインという手法も“その時代につかえる”道具になりえます。
今回のワークショップは、時代が変化していくことをふまえ、「考え方の枠(わく)をシフトする」をテーマにした3時間半のプログラム。人生を生き抜く原動力になる《好奇心》をテーマにしたアイスブレーキングに始まり、これからの時代を今までとは異なる視点でとらえ、まずは「視点をシフトする」ことを体感し、考え方の枠のシフトへとチャレンジする一連のワークに取り組んでいただきました。
人口動態をベースに今後70年、80年のうちにマクロレベルでどのような変化が社会に起きうるか?一見“オトナ向け”な数字や情報にも触れていただきました。「変化する」ことはわかっていても漠然としていた近未来について、仮説であれ、自分や身近な地域への影響をイメージできるほど具体的に、その変わりようとスピードを知ったとき、若者たちの考え方の枠はぐっと動きます。
同時に、地元地域を題材に、外国の地方都市をサンプルにとり、自分の「視点をシフト」して対象をとらえるケーススタディを実施。未知の要素の多い外国の地方都市について情報を《収集》し、よく知る地元地域についても新たな視点で分析した上で情報を《編集》。《発信》する準備までを30分間で取り組んでいただきました。
2つのグループに分かれたメンバーは限られた時間を意識し、それぞれの強みや好奇心を活かし、調べる・分析する・ストーリーを練る・・・と並行して進めていきます。
最後はグループごとのプレゼンテーション。発表待ちのグループは“聴き手”となり、マーケティングプロフェショナルである楽伝メンバー・柴橋美穂とともにひとりひとり、発表グループへのフィードバックを実施いただきました。
今回のケーススタディの開発・進行を担当した柴橋はこう振り返っています。
*「VUCCA」とは、変化しやすく(Volatile)、把握できず(Uncertain)、混沌とし(Chaotic)、複雑で(Complex)、多義的な(Ambiguous)という5つの言葉の接頭語を合わせた略語。
*楽伝はコミュニケーション力とキャリアの開発を両輪ととらえ、多様性に満ち、変化の激しい現代社会において力を発揮する人材を育てることを通じて社会に貢献します。
◆大学を持たない地域
福島県の南に位置する白河市は人口6万人強。65歳以上の老年人口割合約26%(日本全体17%)、年少人口割合(~14歳)が約13%(同16%)。大学を持たない地域は、進学や就職をきっかけに若者人口を手放すことも少なくありません。
“高校卒業したら、どんな大学?どんな仕事?どんな暮らしをしたい?”
“いま居る場所?それともまだ、知らない場所で?”
EMANON準備室 |
地方の地域で高校生が向き合う‟自分事”はなかなか大きい・・・
親を筆頭に、子供たちの選択に影響を与えうる身近なおとなは、心情的・経済的要素も背景に自分自身の体験を通じて形成した価値観をもってと意見・意向を示すことも。一方、子供たちが生き抜くは、おとなの経験ベースの助言が必ずしも奏功しない時代です。
地域性をよく知るEMANON室長・青砥さんによれば
「この先何をしたいか考えるきっかけとなる刺激が、たとえば東京に比べて、地域の中には存在しなかったり、在っても偶発的に出会う機会がないまま3年生になり、推薦入試先や志望大学の選択をする時期になる。」
学校から志望動機を書くようにいわれ、困ってEMANONに相談にくる高校生が少なくないといいます。
◆第1部:変化する環境を知り「視点をシフト」を体感する
この日は楽伝主催で、そんな高校生のキャリア構築をサポートするワークショップを開催。EMANONにつながり様々な体験をしてきた6人の高校生のみなさんとご一緒しました。白河旭高校、白河実業高校、白河高校と3つの高校に通う3年生です。
変化を具体的にイメージしよう |
たとえばいまから約80年後=2100年までの間に自分をとりまく環境がどのように変化していくのか?高校生にはまだ考えるに早いとされたり、そもそも大人が必ずしも向き合う気持ちが充分でないテーマでもありますが、若者は概ね身をおくことになる環境です。その変化を前提にしたとき初めて、キャリアデザインという手法も“その時代につかえる”道具になりえます。
今回のワークショップは、時代が変化していくことをふまえ、「考え方の枠(わく)をシフトする」をテーマにした3時間半のプログラム。人生を生き抜く原動力になる《好奇心》をテーマにしたアイスブレーキングに始まり、これからの時代を今までとは異なる視点でとらえ、まずは「視点をシフトする」ことを体感し、考え方の枠のシフトへとチャレンジする一連のワークに取り組んでいただきました。
人口動態をベースに今後70年、80年のうちにマクロレベルでどのような変化が社会に起きうるか?一見“オトナ向け”な数字や情報にも触れていただきました。「変化する」ことはわかっていても漠然としていた近未来について、仮説であれ、自分や身近な地域への影響をイメージできるほど具体的に、その変わりようとスピードを知ったとき、若者たちの考え方の枠はぐっと動きます。
同時に、地元地域を題材に、外国の地方都市をサンプルにとり、自分の「視点をシフト」して対象をとらえるケーススタディを実施。未知の要素の多い外国の地方都市について情報を《収集》し、よく知る地元地域についても新たな視点で分析した上で情報を《編集》。《発信》する準備までを30分間で取り組んでいただきました。
ケーススタディの発表を聴く |
最後はグループごとのプレゼンテーション。発表待ちのグループは“聴き手”となり、マーケティングプロフェショナルである楽伝メンバー・柴橋美穂とともにひとりひとり、発表グループへのフィードバックを実施いただきました。
今回のケーススタディの開発・進行を担当した柴橋はこう振り返っています。
「考え方の枠をシフトする」には、「視点のシフト」が必要ですが、年齢・性別を問わず、言うは易し・行うは難しの最たるもののひとつです。プログラム後半で「自分の人生」を題材にしたワークをするより前に、みなさんが「視点をシフト」するとはどんなことかを「体感」することが重要でした。そこで30分という限られた時間の中でどんどん自分の「立場」「視点」を変えながらワークを進めるケーススタディをご用意しました。与えられた目的、そして指示・示唆をしっかり押さえながらの、スピード感とリスポンス力が必要です。
その過程を観察し、発表・質疑応答を通じて印象的だったことが2つあります。
まず、みなさんが「その日・その場のチーム」の中でお互いの「強み」をふまえながら役割を分担していったこと。そして、お互いの意見を一旦受容してアクションに繋げ、結果を確認しながら完成へとまとめていく姿勢が加速していったこと。
目的にむかう「流れ」の中で、ゆるやかに「自分の立場・視点をシフト」させていく自然な様子は目を見張るほどでした。
無論、【調べる・分析する・ストーリーを作る・プレゼンする】といった《仕事における型》の中身と質はぜひとも今後、さらに一段高い意識をもって学び、スキルを磨いていただきたいです。
一方、「視点のシフト=自分も含めた複数の立場に立てること」であるとすれば、みなさんのモノやコト、ヒトに対応する「構え」の“しなやかさ”は強み!ぜひ、いま自分にある宝ととらえ、さらに血肉化していただければと思いました。私自身の気づきにもなり感謝です。
さて、次号ではこの続き、ワークショップ後半の模様をお届け予定です。
【ご参考】
>>VUCCA Worldを生き抜く戦略としてのキャリアデザイン*「VUCCA」とは、変化しやすく(Volatile)、把握できず(Uncertain)、混沌とし(Chaotic)、複雑で(Complex)、多義的な(Ambiguous)という5つの言葉の接頭語を合わせた略語。