(子どもゆめ基金助成活動/後援:貝塚市教育委員会)
子どもたちが不思議そうな顔で反応しているのは 11月30日(土)関西でのワークショップの1コマです。
今回らくでんがでかけたのは大阪府貝塚市。
子どもゆめ基金助成活動として、国や世代を超えてのコミュニケーションのきっかけとなる英語インプロワークショップを実施しました。
集まってくれたのは、小学校1年生から中学校1年生までの子どもたち!
◆「1個じゃない」ものって?
かんたんな英語表現をつかって交流ゲームでカラダを軽くうごかしたのち、ゲストのおふたりにきいてみました。
「(お国での)ふだんの生活では、いくつの言語を使ったり見聞きしていましたか?」
インドネシア出身の方は「3つ!」、インド出身の方は「5つくらいかなぁ?」とのこと。身の回りでごくあたりまえに、一つではない言語が話されている環境にいらしたのですね。
実はこのお返事を聞いてのこどもたちの反応が、冒頭にご紹介した「1個やないんや?!」だったのです。
10を軽く超える言語が記されたインドのルピー紙幣 |
インドでは多くの州で「ヒンディー語」が主要な言語として話されています。
大都会のデリーには、広いインドの各地から人が集まっていますから、ごく身近に「テルグ語(インド南部の州で話されることが多い)」や「ベンガル語(インド西部で話されることが多い)」を話す人もいたそうです。
大都会のデリーには、広いインドの各地から人が集まっていますから、ごく身近に「テルグ語(インド南部の州で話されることが多い)」や「ベンガル語(インド西部で話されることが多い)」を話す人もいたそうです。
そして「英語」も公用語の一つですから、学校や議会、あるいは日常でも、出身地域が異なるインド人同士のやりとりで、ごく普通に使われているそうです。そんなことから、ニールさんが日本に来てとても驚いたことの1つは「英語を話す人が大変少ない!」だったそうです。
今回のワークショップでファシリテータを務めたユッキーも、以前にご紹介の通り、インドに滞在していたことがあります。
ときおり、同僚や大家さんのお宅でのホームパーティに招かれることがあったのですが、ご家族同士の会話の中でも、まるでテレビのチャンネルを切り替えるように、話題や顔ぶれによって、突然言語が切り替わる場面によく出くわしたものです。
日本で暮らしていると、たとえば「日本=日本語」というように、「国」と「言語」が“1対1”で対応している気になりがちですが、世界を見れば、実はそれは少数派なんですね。
この日のゲストのみなさんの出身国でいうと、インドネシアは700以上の言語があるといわれます。インドには、地域ごとの方言をのぞいた「指定言語」だけでも22種あります。
私たちホモ・サピエンスは、本当に多様な進化をとげ、その土地の気候や生活、文化に根差した「ことば」を紡いできたのですね。
ところで、「母語」として話す人が多い言語は、何語でしょうか?この日のワークショップでも、こどもたちにきいてみました。
子どもたちからは
「英語?」
「ロシア語?」など、次々に言語があがってきます!
母語で分類すると、もっとも話す人が多いのは中国語。続いてヒンディー語、そしてスペイン語と英語が同じくらいで続きます。
少しわかりやすく「もし世界が40人=教室1クラスだったとすると・・・?」とおきかえてみましょう。母語で分類したときにもっとも多い「中国語」はおよそ『40人中8人』。続く「ヒンディー語」は『3人』くらい、「スペイン語」と「英語」はだいたい『2人ずつ』くらいでしょうか。
つまり、母語だけでコミュニケーションをとろうとすると、通じる相手はとても限られてしまいます。
一方で、母語はそれぞれ異なるけれど、仕事や生活などにおいて「実用レベルで英語を話す人」は、世界でおおむね4人に一人といわれています。
すると、40人クラスにたとえるなら、母語として、または、母語としてではなくとも「英語を話す人」があわせて8人くらいはいるということ。その8人は、それぞれの母語をもっていますから、どうでしょう?英語を介することで、つながることのできる人がかなり増えそうではないですか?!
子どもたちは、そんな世界の「ことば」の実情にふれつつ、インドやインドネシア出身のゲストのみなさんとふれあったり、実用英語を駆使するおとなたちと交流しました。
英語と日本語を交じえながら会話を楽しむ中で、“英語はいろいろな人とつながる便利な道具なんだなぁ”ということを多少なりとも肌で感じてくれたのではないでしょうか。
◆意欲は、伝え合うことへの好奇心から
もちろん一つの言語を習得とするとなれば、体系立てて文法を理解したり、それ相応の反復練習をしたりといった日常的な「努力」が多かれ少なかれ必要となるでしょう。
そんなとき
「●●が大好きだから、英語で~~な人とつながりたい!」
「✦✦を知りたいから、・・・な世界に行ってみたい!」
というように、好奇心がきっと英語を学ぶ原動力になってくれることでしょう。
子どもにとってもおとなにとっても、「好奇心」は「行動するための力を生み出してくれるもの」。私たちが“楽しく努力すること”を可能にしてくれます。
子どもたちはやがて、英語を使って新たな友人と出会うことで、自分の世界を広げ、また、新たな好奇心を自ら育てていくことでしょう。
◆「つたえあえば、人生がひらく」
英語インプロワークショップでの子どもたちの体験は、彼らの人生の中でいえば、「たかが一度きりの小さな点」ですがそれは「されどたしかな小さな点」!
英語が「つたえあうための道具」であることを肌感でとらえる機会をもっていただくことで、子どもたちがやがて豊かな人生をひらくための小さなきっかけになることを願ってやみません。
英語が「つたえあうための道具」であることを肌感でとらえる機会をもっていただくことで、子どもたちがやがて豊かな人生をひらくための小さなきっかけになることを願ってやみません。
そんな想いをこめて、ワークショップはみんなでの“拍手”と“High Five!(ハイタッチ)”で終了しました。
*楽伝はコミュニケーション力とキャリアの開発を両輪ととらえ、多様性に満ち、変化の激しい現代社会において力を発揮する人材を育てることを通じて社会に貢献します。