シリーズ『伝版®ダイアリーと』。最終回は、らくでん理事長・西道広美です。
自身をふくめた7人のユーザーさんのダイアリーとの物語を振り返りつつ、この伝版®ダイアリーを
生み、これからの時代に贈る心をひもときました。
ところで、もしかしてあなたが「伝版®ダイアリーと」おつきあいするとしたら?
いつかぜひ、あなたの『伝版®ダイアリーと』もお聴かせください。(らくでん)
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いかに「それ」を使うか。
「それ」は、「もの」なのか「お金」なのか「人」なのか。
伝版®ダイアリーにおける「それ」は「時間」です。
この4週間ほど、6名の方々のリレー形式で伝版®ダイアリーの使い方を本ブログでご紹介させていただきました。
ご自分の過去・現在・未来と「対話」あるいは「格闘」しながら、何かをしたい・こうありたいという姿に向かい、「いかに時間を使うか」ということに真摯に取り組まれている皆さん、ほんとうに素敵だなあと感心して読ませていただきました。
今関わっている、もしくはこれから関わろうとされている諸々の活動を自分の中で どう位置付けて、どう束ねてゆくのか。その位置づけや束ね方の軸は何なのか。
その軸をベースに活動を見たときに、活動のやり方は具体的にどう変わるのか。異なる表現ながらも、皆さんに共通していたテーマ、それは私自身のテーマでもあります。
あれこれ考える中で、反対に、伝版®ダイアリーがお役に立てない方はどんな方々だろうか、ということにも思いを馳せてみました。
きっと「時間をどう使うか」ということに関しての基準が一貫して明確な方々。さらにそれに対する短期・中期・長期のプランに迷いがなく、活動も絞られている。予測不可能な要素は少ない。したがって、活動の優先順位や、細かな活動の設定に悩みがない。結果、日々の活動をTO DO LISTのチェックで束ねることで、大きな目的につながると信じられる、そんな方々なのだろうなと推測しました。
伝版®ダイアリーは、仮に目的は明確であったとしても、そこに到達するまでにさまざまなルートや活動が想定され、そのルート決定や活動の組み立てを、限られたリソースに応じて状況適応的に決定する際、その思慮に向き合う必要があると感じている方に向いています。
もしかしたら、過去のやり方・あり方がモデルにならないこれからの時代、「自分の軸を置いたまま状況適応的にどう振る舞うか」についての思慮は、今まで以上に必要となるかもしれません。
「これまでとは違うことに興味が移った」と自分では思い込んでいても、見返してよくよく噛んで含むと芯があるというか、軸とも言える共通点が見つかるものです。
違うことをしたつもりでも、いつの間にかあるパタンに帰っている。たとえば、人生には音楽で言うところの主旋律があって、アレンジはあってもある周期をもって主旋律に引き戻されるのだと最近とみに感じます。
私の場合、数年にわたる伝版®ダイアリーを見返して得られた発見の中で、主旋律に近い内容は、故・井上ひさし氏が揮毫を求められたときによく書かれたという下記の一節ですべて言い尽くされているように感じました。
むずかしいことをやさしく、
やさしいことをふかく、
ふかいことをおもしろく、
おもしろいことをまじめに、
まじめなことをゆかいに、
そしてゆかいなことはあくまでもゆかいに
たとえば、今回テーマとなっている伝版®ダイアリーは、最初の2行を可能にするツールです。つまり、伝版®ダイアリーは「人生に向き合う」という気が重くむずかしいことをやさしくする。伝版®のやさしさにほだされて書いてみてから、自分の人生や活動を深く見つめる。深く見つめた結果を、伝版®ダイアリーから飛び出して、人生の中で実践する・・・。
その実践について「自分で自分の背中を押したい」そんな方々に伝版®ダイアリーは向いています。
ご近所の四天王寺さん 1400年ここに在る、今朝のすがた |
さて、時代についても考えてみましょう。そういえば、経済成長や物質的な充実に多くの人が夢を感じていた時代は、幸福や成功という目的が、地位・お金などの外的な報酬に紐づいた一義的なものでした。
その時代、過去から現在、現在から未来への道筋がポジティブな想定範囲内にあると世間全体が信じていました。そんな時代には伝版®ダイアリーのような面倒なものは必要ないと思います。
そういえば私は、学生時代からその後の勤め人の時代に至るまで、常にどこか「ここは自分の居場所じゃない」と居心地の悪さを感じて、
どうしようもない気分に陥るタイプの人間でした。それは、私が目に見える役割とか地位ではなく、上のようなことに関する活動に携わったときにはじめて満足を感じるタイプの人間だったからなのでしょう。それを求めるなら、自分で作るしかないと気づいたのは、もう40歳を過ぎていました。でも、人生長いですからね。平均寿命で言うところの半分で気づいて良かったです。
世の中の変化は激しさを増すばかり。高度成長期の時期に「居心地が悪かった」私は、ちょっと変わり者だったかもしれませんが、こう変化が速くなると、「居心地が悪くなる」人々がどんどん増えていくかもしれません。
たった一度の「命」という名で与えられた「時間」を「いかにそれを使うか」に注力して自分の味方にする。残念ながら、そんな方法を一朝一夕で身に着けることは簡単ではなく、変化が次々と現れる時代となればなおさらでしょう。そんなとき、ちょっと頼りになる、時には甘えられる存在に伝版®ダイアリーがなれたらいいなと思っています。
「答え合わせは最後の最後で」~齋藤和義 Playerより
西道広美 拝
*楽伝はコミュニケーション力とキャリアの開発を両輪ととらえ、多様性に満ち、変化の激しい現代社会において力を発揮する人材を育てることを通じて社会に貢献します。