2017年3月9日

理念に紐づく人材育成プランニングに向けて

開催報告:教育責任者会議における対話ワークショップ

1月下旬、楽伝のファシリテータがおじゃましたのは日本医療福祉生活協同組合連合会(以下、連合会)主催の教育責任者会議の場。この日は、連合会に所属する全国各地の医療福祉生活協同組合(以下、医療福祉生協)の教育責任者が集まる会議の二日目。南は沖縄、北は青森から35名さまが参加されました。

医療福祉生協は、地域住民がそれぞれの健康と生活にかかわる問題をもちよる、消費生活協同組合法にもとづく自治的組織です。医療機関・介護事業所などを所有・運営し、ともに組合員として生協を担う住民と職員の協同によって、
問題解決につながる事業と運動を行います。
連合会は、こうした全国の医療福祉生協の事業と運動を推進するため、理念に紐づいた人材像=
「医療福祉生協の人づくり(案)」を提案し、各生協の人材育成プラン策定を後押ししています。

◆多様なメンバー
ひとくちに教育責任者といっても各生協の規模により、看護師としての業務にあたりながら教育責任者として後進の育成を担う方、大組織で人事や労務を担当しながら人材育成の課題にも責任をおっている方など、お立場はさまざまです。この職責での経験も、長年にわたる方から比較的浅い方まで。多様なバックグラウンドをもつ35名さまですが、専任の部署や責任者がいないなか「人材育成に係る取り組みが思うようにすすまない」というのは多くの組織に共通した切実な悩みでした。

そこで今回、連合会事務局と楽伝とで会議の一部で展開するプログラムを設計し、「理念に紐づいた人材育成のプランニングにとりかかろう!」と明日からの行動に弾みがつくワークショップの提供をめざしました。

◆「自分との対話」プログラム
とはいえ、費やすことのできるお時間は3時間弱。自組織に焦点をあてて現状分析をし、その結果をもとにビジョン、さらには人材像を明確にし、緻密な行動計画を策定するには充分ではありません。

そこで時間の制約を逆手に取ることに。今回のみなさまは自らエンジンをかけることさえ実現していれば、具体的な行動計画は自組織にもどって一気に走らせる方々であることを存分に信頼し、この場ではあえていったん自組織の課題からは離れていただくことにしました。まずはお一人おひとりの「生協への思い」を徹底的に内省していただき、ご自身の内にある「ありたい姿にむけて行動したい気持ち」に真正面から向き合う=「自分との対話」の時間となるようプログラムを設計しました。

◆それ、楽伝のトクイです
「自分との対話」は、コミュニケーションのなかで最も難しいもののひとつですね。重たい作業だけに、ともすると回避してしまったり、浅薄な内省にとどまってしまったり。

そう、難しいからこそわれわれ楽伝の専門領域です。コミュニケーションを楽(ラク)に楽しくすることをねらって開発されたグラフィックツール「伝版Ⓡ」を取り入れ、他者との協働を通じて転換を促進する独自のプログラムで、その難しさを、いい意味で「うっかりなかったことに」することを応援します。

とりわけ、多様なバックグラウンドをおもちでいて共通する課題をもった方が集まる場では、ほかのメンバーの力を借りる(他者との協働)にかぎります。今回も各グループで「おとなりさん=パートナー」の力を借りたインタビュー形式をとり、「自分との対話」を深めていただきました。自分とすこし近い他者との対話、さらには他者によって自分を語られることを通じ、自分自身を“ひきだして、ひもといて、くみたてる”というコミュニケーションの準備段階がスムーズに進み、自らの内側にある「生協への思い」が言葉として見える化できます。
 
◆他者の力を借りて自分を再発見!
具体的には、ペアを決めて3つのお題で、相互インタビューを通じ、しっかりとそれぞれの「生協への思い」を新たにしていただきます。インタビューされて語ると、ペアのパートナーさんがどんどん伝版Ⓡ「花」のなかに書き込んでくれます。数分というごく短い時間のインタビューながらそこここで話がワッと花ひらき、パートナーさんの忙しい手により、どんどんシートの花びらが埋まっていきました。

3つのお題をおえると、お互いをグループのメンバーに他己紹介。ほかでもない「自分が語ったはずの内容」ですが、パートナーさんのカラダを通過して、キモチとともに言葉にして紹介されると・・・あたかも新しい自分を発見したような感覚が!“嬉し恥ずかし”の瞬間です。

◆自分の想いをもってビジョンを
続いて伝版Ⓡ「木」をつかい、こうして整理され磨きこまれたご自分の想いをもって、「ありたい組織の姿(ビジョン)」をイメージしていただきました。
それにしても、どの「木」もまだ他己紹介の興奮残る想いがあふれんばかりで字やイラストがいっぱいです!

次に、医療福祉生協連の理念をあらためてご覧いただき、感じたままに気になる表現をご自身の「木」に付箋で載せていきます。だんだんと、連合会の理念や「人づくり案」が個々の教育担当者さんの思いをサポートするものへ、つながりがみえてきました。「木」の実現に向けて自らが貢献すること、その第一歩行動も明らかになります。ワークショップのしめくくりにはグループで、ありたい姿と第一歩行動を発表しあい、お互いが励ましあい、応援しあうサポーターに!
 
さて、みなさまはワークショップを終えてどんなお気もちになっておられたのでしょうか。参加メンバーの方、そして主催された連合会事務局の方のご感想を紹介します。

 ~ご参加者アンケートより~  *WS=ワークショップ
 『多方面に渡り自生協の強みや弱み、気づきがありました。自生協で今回のWSを活用したいと
   思いました。』

 『自己理解、他者理解こそ教育の第一歩と感じました。多忙で教育はともすると後回しになりがち
   ですがそれをよしとせず進めていきたいです。とても楽しいグループワークでした。』

 『この取り組みは「自分・自組織の強み・思い」を生かして行動計画をう上で大変有用でした。
   管理部、一般職員、職責者、組合員と一緒にこのWSにとりくめると良いと思いました。』

 『イメージで考えていることを「見える化する」重要性を実感しました。提案や発信する力が
   自生協でまだ不足しています。あらためて全職員、全組合員に理念教育を浸透する機会を設け
   る重要性があるし、その仕掛けづくりを工夫していきたいです。』

 ~事務局 中島あきこさまより~
        (連合会 会員支援部)
  『たいへん多様な参加メンバーのほとんどが、自己の
   内面に向きあいなんらかの気づきを得る機会を得られ、
   とても良かったと思います。
 うまくワークに取り組むことができるか、正直なところ
 事前には少々不安もありましたが、ファシリテータの方
 が「場の雰囲気」を素晴しく上手に創ってくださり、
 どのグループもすぐに会話がはずみ、集中して参加
 できていました。
   これからの各組織での取り組みスタートにむけて、
   まさにねらいどおり“明日からの行動に弾みがつく
   WS”になったとうれしく思っています。』

【参考】伝版®を活用したそのほかのリーダー研修
   (医療生協 介護事業者マネジメント研修)
 >>事業所を越えたネットワーキングで、よりよい職場づくりを
 
*楽伝はコミュニケーション力とキャリアの開発を両輪ととらえ、多様性と変化あふれる社会において力を発揮する人材を育てることを通じて社会に貢献します。

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